日本甜菜製糖

日本甜菜製糖株式会社：北海道のビート糖産業を支える企業

日本甜菜製糖株式会社は、東京都港区に本社を置く企業です。略称は「日甜」または「ニッテン」として広く知られています。同社は砂糖、イースト、飼料、そして紙筒などの多様な製品を製造・販売しており、その歴史は北海道におけるビート糖産業と深く結びついています。

多様な事業展開

日本甜菜製糖の事業は大きく分けて以下の部門で構成されています。

砂糖部門: ビート糖、精糖、ビート糖蜜、精糖蜜、液糖など、砂糖関連製品の製造販売を主力としています。
イースト部門: パンや菓子などに使用される生イースト、ドライイーストに加え、医薬品や飼料にも用いられる薬用イーストを製造しています。
飼料部門: 乳牛や肉牛向けの配合飼料、ビートパルプなどを生産し、北海道の畜産業を支えています。
紙筒部門・ペーパーポット: ビート、葉タバコ、野菜、花卉、水稲、材木など、多様な作物の栽培に用いられる紙筒や、苗の移植栽培に革命をもたらしたペーパーポットを製造しています。
その他部門: ラフィノース、ベタイン、メリビオース、DFAIII、てん菜種子、調整泥炭など、ビートから生まれた付加価値の高い製品も製造しています。

幾多の苦難を乗り越えた歴史

日本甜菜製糖の歴史は、明治時代における北海道でのビート糖産業の興亡と深く関わっています。明治政府の近代産業育成政策の一環として始められたビート糖生産は、当初は原料栽培や製糖技術の未熟さ、運搬設備の不足などから失敗に終わりました。

しかし、第一次世界大戦による砂糖価格の高騰を背景に、1919年には前身となる「北海道製糖」、翌年には「日本甜菜製糖」が設立され、北海道にビート製糖が復活しました。両社は工場付属の直営農場を設立し、周辺農家へのビート栽培委託、専用鉄道の敷設など、地域経済の発展にも貢献しました。

創業期は天候不順などによる経営難が続きましたが、ビートの寒冷地適応性、増大する耕作面積を背景に、工場の増設、設備の近代化を進めていきます。日中戦争、第二次世界大戦といった激動期には、国家政策による統合、砂糖生産の縮小などを余儀なくされましたが、戦後の「甜菜生産振興臨時措置法」による政府買い上げ制度により安定成長を遂げました。

多角化と近代化

戦後は経営の多角化、体質強化を進め、飼料工場、紙筒工場の新設、ペーパーポットの開発など、新たな事業分野を開拓しました。砂糖の自由化、価格競争激化といった厳しい経営環境の中でも、効率的な生産システムの導入、製品開発、販売網の拡大などを推進し、成長を続けてきました。

1970年には東洋一規模を誇る芽室製糖工場を建設、国内初となる「濃厚汁製糖法」の導入など、技術革新にも積極的に取り組んできました。

現在も、北海道を拠点に、砂糖、飼料、紙筒など、多角的な事業を展開し、地域経済の発展に貢献する企業として、その役割を担っています。

主要な事業所

本社：東京都港区
芽室製糖所：北海道河西郡芽室町
清水バイオ工場、清水紙筒工場：北海道上川郡清水町
美幌製糖所：北海道網走郡美幌町
士別製糖所：北海道士別市
* その他、全国各地に営業所を展開

日本甜菜製糖株式会社は、歴史と技術革新を融合し、未来に向けて成長を続ける企業です。

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