早稲田大学坪内博士記念演劇博物館

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館（通称：エンパク）は、東京都新宿区の早稲田大学キャンパス内に位置する、演劇を専門に扱う博物館です。この博物館は、アジアにおいて唯一の演劇専門施設として幅広く認知されており、そのコレクションは非常に豊富です。

設立の背景と歴史

博物館は、坪内逍遥の古稀を祝し、彼が手掛けた『シェークスピヤ全集』の翻訳事業の完了を記念して1928年に設立されました。以来、博物館は日本国内外の演劇や映像に関する貴重な資料を数多く収蔵し続けています。

膨大なコレクション

現在、この博物館には約100万点の演劇関連資料が収められています。これには、錦絵4万8000枚、舞台写真40万枚、図書27万冊、演劇上演に使用されたチラシやプログラムなどが含まれています。さらに、衣装や人形、書簡、原稿など15万9000点の博物資料もあり、その多様性は訪問者にとって貴重な学びの場となっています。

資料の利用と研究活動

これまで、所蔵図書はコピー禁止でしたが、1990年代からはコピーが可能になり、演劇雑誌『演芸画報』『テアトロ』『歌劇』などが閲覧室で自由に閲覧できるようになりました。また、博物館は研究拠点としての役割も果たしており、21世紀COEプログラムやグローバルCOEプログラムに選ばれ、国際的にも注目されています。1965年からは『演劇研究』と題された紀要を発刊し、研究成果の発表に努めています。

建物の特徴と文化的価値

博物館の建物は、16世紀のイギリスの劇場「フォーチュン座」を模して設計され、建築家の今井兼次によるものです。1987年には新宿区の有形文化財に指定され、文化的価値も高く評価されています。また、1978年の開館50周年には劇団四季がこの場所で『ヴェニスの商人』の法廷の場を上演し、演劇ファンにとって重要な思い出の場ともなっています。

受験生の聖地

博物館の前には、「講義中の逍遙」というタイトルの銅像が立っており、逍遥の右手と握手をすると良い運が舞い込むと伝えられています。このため、毎年受験シーズンには多くの受験生が携えてその銅像に列を作り、合格祈願を行う光景が見られます。

結論

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館は、演劇を愛する人々にとっての聖地であり、また学術の場としても重要な役割を担っています。演劇の歴史や文化に触れ、学ぶ機会を提供する場として、今後も多くの人々に利用されていくことでしょう。

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