早香

早香（はやか）：容易な収穫と高い品質を両立した柑橘

早香は、ミカン科の常緑樹であり、柑橘類に分類される品種です。農研機構（旧果樹試験場口之津支場）において、ウンシュウミカン（今村温州）と中野3号ポンカンを掛け合わせることで1972年に誕生しました。その後、長年にわたる試験と選抜を経て、1989年に「早香」と命名され、「みかん農林6号」として品種登録されています。

果実の特性

早香の果実は、150g程度の扁円形で、両親であるウンシュウミカンとポンカンそれぞれの優れた特徴を受け継いでいます。果皮の色は鮮やかな橙色をしており、ポンカンを思わせる芳香が特徴的です。果皮は非常に薄く、手で容易に剥くことができます。糖度は13度以上と高く、酸味は0.8%程度とバランスがとれており、甘さと酸味の調和が絶妙です。種子の数はポンカンと同様に多く含まれています。収穫時期は12月上旬から中旬頃ですが、果実が完全に着色するのは12月中下旬頃になります。

樹勢と栽培特性

早香の樹勢はやや強く、豊産性も高く、安定した収穫が見込めます。ポンカンと比較すると、果皮の浮皮（ふか）の発生が少なく、収穫期に起こりがちな「す上がり」現象（果実が樹上で劣化すること）もほとんど見られません。これらの特性から、栽培管理が比較的容易な品種と言えるでしょう。

病害虫への抵抗性

病害虫に対する抵抗性については、カンキツかいよう病にはやや弱い傾向があります。しかし、そうか病には強い抵抗性を示します。また、カンキツトリステザウイルスによるステムピッキング（枝の萎縮）が発生することがありますが、栽培管理上、大きな問題となるレベルではありません。

まとめ

早香は、容易な収穫性と優れた果実品質を両立した、栽培しやすい柑橘品種です。高い糖度と爽やかな酸味、そしてポンカンを思わせる上品な香りは、多くの消費者に好まれるでしょう。薄くて剥きやすい果皮は、食べやすさにも貢献しています。これらの特徴から、早香は生産者と消費者の双方にとって魅力的な柑橘と言えるでしょう。今後、さらに栽培技術が進歩することで、より多くの地域で生産される可能性を秘めていると考えられます。

もう一度検索