曹訓

曹訓（そう くん）は、中国三国時代の魏に生きた人物です。彼の人生は、父である曹真の死後、そして兄である曹爽が魏の実権を握った時代に大きく動きました。しかし、その権勢は長くは続かず、司馬懿のクーデターによって終わりを迎えます。

曹訓は、父の曹真が亡くなった後、その功績により、兄たちと共に列侯に封じられました。この時、彼には曹爽、曹羲という二人の兄と、曹則、曹彦、曹皚という弟がいました。曹叡（明帝）が崩御し、曹芳（斉王）が幼くして即位すると、曹爽は司馬懿と共にその補佐役を任じられます。しかし、曹爽は策謀を巡らせ、ついには司馬懿から実権を奪い取り、政治の中枢を掌握しました。

曹爽が権力を握ると、曹訓もまた重要な地位に就きます。彼は武衛将軍に任命され、宮中の警護を担うことになりました。また、弟の曹彦は散騎常侍・侍講として皇帝に近侍し、兄弟たちはそろって栄華を極めました。しかし、曹爽一族の権勢は、次第に人々の反感を買うようになります。彼らはその権力を笠に着て、横暴な振る舞いを繰り返したため、周囲からの批判の声が高まりました。

兄の曹羲は、弟である曹訓の振る舞いを度々訓戒したと言われています。この訓戒は、弟への忠告であると同時に、兄である曹爽への諫言の意味も込められていました。曹羲は、曹爽の独断専行や奢侈な生活を憂い、一族の将来を案じていたのです。

しかし、曹爽の権勢は長くは続きませんでした。249年、曹爽は曹芳を伴い、先帝である曹叡の陵墓へ詣でた際、司馬懿によってクーデターが起こされます。司馬懿は、曹爽一派を捕らえ、彼らの権力を剥奪しました。曹訓もまた、兄と共に捕らえられ、自宅に軟禁されることになります。

その後、曹爽一族には、謀反の計画があったという嫌疑がかけられました。そして、曹爽、曹訓を含む一族は、処刑されることになったのです。この時、彼らの三族もろとも皆殺しにされたと伝えられています。曹訓の人生は、兄である曹爽の権力掌握と共に華々しく始まりましたが、司馬懿のクーデターによって、悲劇的な結末を迎えることとなりました。この事件は、魏の政治史における大きな転換点となり、司馬懿による司馬氏の権力基盤確立へと繋がっていきます。

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