服部天神宮

服部天神宮：足の神様と歴史が息づく神社

大阪府豊中市服部元町に鎮座する服部天神宮は、古くから「足の神様」として広く知られる神社です。その歴史は古く、允恭天皇の時代（412年～453年）、帰化人集団である秦氏が当地を拠点とした際に、医薬の神として崇められていた少彦名命が祀られたのが始まりと伝えられています。当初は小さな祠でしたが、後に天神祠と呼ばれるようになりました。

延暦2年（783年）、藤原魚名が左遷され、この地で亡くなると、天神祠の近くに葬られました。現在も境内にその墓が残されています。約100年後には、菅原道真もこの地で病に倒れ、天神祠に祈願したところ平癒したという伝承があり、その後、菅原道真も合祀されることとなりました。これ以降、服部天神宮と呼ばれるようになり、菅原道真の故事にちなみ「足の神様」として信仰されるようになりました。

近世には能勢街道の宿場町として栄え、特に江戸時代後期には門前市が賑わいました。明治時代には村社に列格され、1910年には阪急電鉄の開通により交通の便も向上しました。2013年には最寄り駅の駅名が「服部天神駅」に変更され、神社の知名度向上に繋がりました。

現在も、足の病の平癒を願う人々だけでなく、スポーツ選手など、足を使う職業や活動をしている人々からも信仰を集めています。

境内と歴史的建造物

服部天神宮の境内には、歴史を感じさせる建造物が数多く残されています。文政10年（1827年）に再建された本殿や、多くの草履や靴、杖などが奉納されている草履堂（わらじ堂）などがその代表です。草履堂は、かつて足の病に悩む人が自作のわらじを奉納したのが始まりと言われています。

その他、菅原道真像や「足踏み石」祈願台座、豊中えびす社、初酉稲荷神社、稲荷社11社、祖霊社覆屋、藤原魚名の墓、招魂社など、見どころが満載です。特に祖霊社覆屋は、元々は大阪博物館にあった能舞台の一部を移築したもので、歴史的価値の高い建造物です。

境内には、豊中市指定有形民俗文化財である算額3面も残されています。江戸時代の数学の問題が書かれた算額は、当時の数学文化を知る上で貴重な資料です。また、「豊中三大文化人の碑」には、書家の西田王堂、画家の矢野橋村、歌人の安田青風という豊中市にゆかりのある3人の文化人が顕彰されています。

多くの祭事

服部天神宮では、年間を通して様々な祭事が行われています。特に、豊中えびす祭（1月9日～11日）は、約35万人の参拝者を集める大規模な祭事で、境内は大変な賑わいを見せます。その他にも、初天神祭、夏天神祭、例大祭など、多くの祭事が地域住民の生活に深く関わっています。

豊中えびす社の十日戎では、公募で選ばれた福娘が奉仕しており、近年は留学生枠も設けられ、国際交流にも貢献しています。

交通アクセス

阪急宝塚本線服部天神駅下車、徒歩3分というアクセスも良く、多くの人が訪れる神社です。国道176号線からも近く、車でのアクセスも便利です。

服部天神宮は、歴史と信仰、そして地域の人々の生活が一体となった、魅力的な神社です。豊中市を訪れる際は、ぜひ足を運んでみてください。

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