札幌国際芸術祭

札幌国際芸術祭（Sapporo International Art Festival: SIAF）

札幌国際芸術祭（SIAF）は、北海道札幌市において、3年に一度開催される国際的な芸術の祭典です。このトリエンナーレ形式のイベントは、芸術を通して都市と自然の関係性や社会のあり方を問い直し、新たな価値創造を目指すことを目的としています。

これまでの歩み

札幌国際芸術祭は、2014年に第1回が開催されて以来、多くの人々に芸術と触れ合う機会を提供してきました。

2014年：第1回「都市と自然」

記念すべき第1回は、音楽家・坂本龍一氏をゲストディレクターに迎え、「都市と自然」をメインテーマに掲げて開催されました。「自然」「都市」「経済・地域・ライフ」という三つのサブテーマのもと、多角的に人間と環境の関係を探求しました。北海道立近代美術館や札幌芸術の森美術館をはじめ、札幌駅前通地下歩行空間（チ・カ・ホ）やモエレ沼公園、札幌市資料館など、札幌市内18箇所を会場とし、国内外から64組のアーティストが参加。街全体がアートで彩られ、多様な表現が集積する場となりました。

2017年：第2回「芸術祭ってなんだ？」

第2回は、音楽家・大友良英氏がゲストディレクターを務め、「芸術祭ってなんだ？」という根源的な問いをテーマに据えました。「ガラクタの星座たち」というサブテーマのもと、既成概念にとらわれない自由な発想で、芸術祭のあり方そのものを見つめ直す試みが行われました。札幌芸術の森、モエレ沼公園、市街地の様々なスペースなど多岐にわたる会場が使用され、∈Y∋、イサム・ノグチ、石川直樹、宇川直宏、梅田哲也、ナムジュン・パイク、のんといった幅広い分野のアーティストが多数参加。参加型プロジェクトやパフォーマンスも多く展開され、鑑賞者と芸術祭とのインタラクションを重視する特徴が見られました。

2020年：特別編

3回目の開催が予定されていた2020年は、新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックの影響を大きく受けました。当初計画されていた本開催は中止を余儀なくされましたが、代替として規模や形式を変更した「札幌国際芸術祭2020特別編」が実施されました。この特別編では、困難な状況下での芸術の役割や、新たな表現方法の模索が進められました。

2024年：第4回「LAST SNOW」

2024年には、キュレーター・小川秀明氏をゲストディレクターに迎え、4回目の芸術祭が開催されました。テーマは「LAST SNOW」、サブテーマは「はじまりの雪」。会期を従来の夏から冬へと変更し、1月下旬から2月にかけての厳冬期に開催されたことが最大の特色です。未来劇場（東1丁目劇場施設）や北海道立近代美術館、モエレ沼公園などに加え、さっぽろ雪まつりの大通2丁目会場も活用。雪や寒冷地ならではの環境を取り入れた、あべ弘士、エイミー・カール、チェ・ウラム、明和電機、雪ミクなど国内外のアーティストによる多様な作品が展示されました。冬の札幌だからこそ可能な、新たな芸術表現の可能性が開拓されました。

SIAFの意義

札幌国際芸術祭は、都市空間をアートの力で再活性化し、市民や観光客に質の高い文化体験を提供することを目指しています。3年に一度の開催を通じて、国内外の最新の芸術動向を紹介するとともに、札幌という土地固有の歴史や文化、自然との関係性を探求する場となっています。多様なアーティストや市民が交流し、新たな創造が生まれるプラットフォームとして、SIAFは札幌の文化振興において重要な役割を担っています。

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