李昌鎬

李昌鎬（イ・チャンホ）

プロフィール

李昌鎬（イ・チャンホ、이창호、1975年7月29日 - ）は、韓国の囲碁棋士です。全羅北道全州市出身で、韓国棋院に所属し、曺薫鉉門下で九段の棋士として活躍しています。その卓越した実力から、1990年代から2000年代にかけて世界最強の棋士と称えられ、プロ囲碁史においても呉清源などと並び称される、歴史的な名棋士の一人です。

棋風

李昌鎬の棋風は、序盤から中盤にかけて手厚く打ち、ヨセ勝負に持ち込む堅実なスタイルが特徴です。特に、終盤のヨセにおいては「神算」と称されるほど正確無比であり、その実力は他の棋士を圧倒します。また、無表情かつ寡黙な性格から「石仏」というニックネームでも知られています。

経歴

1975年、全羅北道全州市で三兄弟の次男として生まれた李昌鎬は、幼少期から囲碁に親しみ、その才能を開花させました。祖父の影響で囲碁を始めた後、地元の碁会所で腕を磨き、1983年からプロ棋士の田永善に師事。1984年には、当時のトップ棋士であった曺薫鉉の内弟子となり、韓国棋院の研究生としてプロの道を歩み始めます。

1986年、11歳という若さで入段を果たし、その才能を世に知らしめました。その後、数々の棋戦で勝利を重ね、1989年にはKBS杯で初タイトルを獲得。1990年には、師匠である曺薫鉉から最高位を奪取し、その名を一躍轟かせました。1992年には、東洋証券杯で世界最年少タイトルを獲得し、韓国に囲碁ブームを巻き起こしました。

1990年代から2000年代にかけて、数々の国際棋戦で優勝を果たし、世界最強の棋士としてその地位を確立しました。2003年には、トヨタ&デンソー杯と春蘭杯を制し、世界戦グランドスラムを達成しました。国内棋戦においても、数々のタイトルを獲得し、その実績は後世に語り継がれています。

2011年には無冠となる時期もありましたが、2017年のアンケートでは「歴代最高の棋士」に選ばれ、その偉大さは今もなお色褪せていません。

記録

李昌鎬は、数々の記録を保持しており、その偉大さを物語っています。

史上最年少国際棋戦優勝（16歳5ヶ月）
世界タイトルグランドスラム達成
通算最多世界タイトル獲得（21回）
史上最長連勝記録（41連勝、1991年）
通算100回タイトル突破（2001年）
通算最多タイトル獲得（140回）
年間賞金10億ウォン突破（2001年）
通算最多勝（1691勝）
通算成績（2280局、1681勝599敗、勝率73.72％）

エピソード

幼少期にはシルム（韓国相撲）が非常に強く、土俵の上で負けた記憶はほとんどないと言われています。また、元々は左利きですが、碁を打つ時は右手を使用しています。小学校入学時のIQテストでは139を記録しています。呉清源、曺薫鉉、李世乭を囲碁の天才として尊敬しています。

年表

1975年：韓国全羅北道全州で出生。
1981年：祖父により囲碁入門。
1983年：ヘテ杯子供囲碁大会16強（最年少奨励賞）。
1984年：オッケンドンム囲碁王戦優勝。曺薫鉉の内弟子になる。
1986年：韓国棋院入段。（史上2位の年少記録）
1989年：KBS囲碁王戦優勝（最年少タイトル記録）。
1990年：最高位・新王・国手獲得。41連勝（史上記録）。
1991年：大王・最高位・王位・MBC帝王・バッカス杯・名人獲得。
1992年：東洋証券杯（最年少世界タイトル獲得）・大王・最高位・BCカード杯・MBC帝王・名人・バッカス・KBS囲碁王獲得。
1993年：東洋証券杯・棋聖・大王・SBS連勝囲碁・BCカード杯・MBC帝王・バッカス杯・名人・国手・国棋・倍達王獲得。十三冠王達成。
1994年：棋聖・覇王・SBS連勝囲碁・最高位・棋王・BCカード杯・名人・国手・国棋獲得。
1995年：テレビ囲碁アジア選手権戦・KBS囲碁王・倍達王・大王・棋聖・覇王・SBS連勝囲碁・最高位・BCカード杯・棋王・名人・国手・国棋獲得。プロ棋士1号の公益勤務（兵役特待）。
1996年：東洋証券杯・世界囲碁選手権富士通杯・テレビ囲碁アジア選手権戦・棋聖・倍達王・大王・最高位・王位・名人・天元・国棋・国手獲得。世界囲碁最強戦優勝。九段昇段。銀冠文化勲章受章。
1997年：LG杯世界棋王戦・三星火災杯世界オープン戦・大王・棋聖・最高位・BCカード杯・王位・テクロン杯・天元・国手獲得。
1998年：東洋証券杯・富士通杯・倍達王・大王・棋聖・最高位・王位・名人・テクロン杯・天元獲得。公益勤務招集解除。
1999年：LG杯、三星火災杯・棋聖・KBS囲碁王・最高位・王位・名人・天元獲得。
2000年：三星火災杯・棋聖・王位・名人獲得。
2001年：応昌期杯、LG杯・LG精油杯・棋聖・覇王・王位・KBS囲碁王・名人獲得。
2002年：テレビ囲碁アジア選手権戦・棋聖・国手・覇王・王位・名人・KBS囲碁王獲得。
2003年：トヨタ&デンソー杯囲碁世界王座戦・春蘭杯世界囲碁選手権戦優勝。世界戦グランドスラム達成。LG精油杯・国手・棋聖・王位・名人獲得。
2004年：LG杯・王位・LG精油杯・KBS囲碁王・泰達杯獲得。
2005年：春蘭杯・電子ランド杯・王位・KBS囲碁王獲得。
2006年：円益杯十段・国手・電子ランド杯・王位獲得。
2007年：王位戦で11連覇達成。KBS囲碁王・中環杯獲得。
2008年：十段・電子ランド杯獲得。
2009年：KBS囲碁王・ハイワンリゾート杯名人獲得。
2010年：KBS囲碁王・国手獲得。

タイトル歴

国際棋戦

世界囲碁最強戦（1996年）
中韓天元対抗戦（1997, 1998, 1999, 2000年）
柳州杯世界囲棋大師戦（2012年）

国内棋戦

(省略)

その他の棋歴

テレビ囲碁アジア選手権戦 準優勝（1990, 1999, 2000, 2006年）
春蘭杯世界囲碁選手権戦 準優勝（1998, 2008年）
LG杯世界棋王戦 準優勝（2003, 2010, 2012年）
世界囲碁選手権富士通杯 準優勝（2007-2009年）
三星火災杯世界オープン戦 準優勝（2005-2006年）
応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦 準優勝（2008年）
真露杯SBS世界囲碁最強戦（1991-1996年）
ロッテ杯中韓囲碁対抗戦（1994-1997年）
農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦（2000-2012年）
CSK杯囲碁アジア対抗戦（2002-2006年）
江原ランド杯中韓囲碁対抗戦（2006年）
三星火災杯ペア碁最強戦 優勝 (1997年)
鳳凰古城世界囲棋嶺鋒対決 (2005年)
アジア競技大会 (2010年男子団体戦 優勝)
珠鋼杯世界囲碁団体選手権 (2013年 4位)
韓国囲碁リーグ (2004-2014年)
中国囲棋乙級リーグ戦 (2010-2014年)
中国囲棋甲級リーグ戦 (2001-2002年)

著作

『名局細解　李昌鎬』誠文堂新光社（2004年）
『勝負する心 李昌鎬自伝』自由国民社（2012年）

参考文献

孫鐘洙『李昌鎬物語』岸井紀子訳、棋苑図書（2009年）

外部リンク

韓国棋院内の李昌鎬紹介ページ
インタビュー(英語で)

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