韓国棋院

韓国棋院について

財団法人韓国棋院（한국기원）は、大韓民国における囲碁の普及と発展を目的とした組織です。プロ棋士が所属し、様々な棋戦の開催や出版物の刊行など、多岐にわたる活動を行っています。

歴史

韓国棋院の歴史は、1945年に趙南哲（チョ・ナムチョル）が設立した漢城棋院に始まります。趙南哲は、日本の木谷實九段の門下でプロ棋士となった人物で、帰国後に韓国で囲碁の普及に尽力しました。漢城棋院は、朝鮮棋院、大韓棋院と名前を変え、1954年に現在の韓国棋院となりました。

当時、韓国では、日本式の現代囲碁と、伝統的な巡将碁（スンジャン・パドゥク）が混在していました。趙南哲らは、現代囲碁の普及に力を注ぎ、1950年には初の段位決定戦を実施。趙南哲が三段、他の12人が初段となりました。

朝鮮戦争による一時中断を挟み、1954年には昇段大会や入段大会が再開。1956年には、初の新聞棋戦である国手戦が開始され、趙南哲が初代国手となり、その後9連覇を達成しました。1959年には、覇王戦、最高位戦などの棋戦も始まり、韓国囲碁界は急速に発展していきます。

初期の韓国囲碁界は、日本で囲碁を学んだ棋士たちが中心でしたが、1970年代には徐奉洙（ソ・ボンス）が現れ、曺薫鉉（チョ・フンヒョン）とタイトルを争うなど、韓国で育った棋士も台頭するようになりました。

1989年には、曺薫鉉が第1回応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦で優勝。その後も、徐奉洙、劉昌赫（ユ・チャンヒョク）、李昌鎬（イ・チャンホ）などが世界棋戦で優勝し、1990年代以降、韓国は世界最強の囲碁勢力として台頭しました。1996年には、LG杯と三星火災杯という2つの世界選手権も始まり、韓国囲碁界は最盛期を迎えます。1997年から1998年にかけてのアジア通貨危機の影響で多くの棋戦が終了したり、賞金が削減されたりする危機に見舞われましたが、経済の回復とともに新たな棋戦も開始されました。

2000年以降は、李世乭（イ・セドル）、朴永訓（パク・ヨンフン）、崔哲瀚（チェ・チョルハン）らが世界選手権で優勝し、李昌鎬とともに韓国囲碁界を牽引しました。

また、外国のプロ棋士が国内棋戦に参加できる客員棋士制度を設け、中国出身の芮廼偉（ルイ・ナイウェイ）が客員棋士として編入したことが、韓国の女流棋士のレベルアップに大きく貢献しました。2008年には、朴鋕恩（パク・チウン）が韓国人女流棋士として初の九段となりました。

近年では、韓国人棋士の国際大会での活躍が目覚ましく、仲邑菫（なかむら・すみれ）のように海外から修行のために短期留学する棋士も多くなっています。

2010年には、囲碁広報大使として女優の李英雅（イ・ヨンア）を任命し、囲碁の普及に努めています。2023年現在、客員棋士として、ロシア出身のアレキサンダー・ディナーシュタインとスベトラーナ・シックシナが在籍しています。

出版物

韓国棋院は、1967年から月刊誌『棋界』（기계）を刊行。1969年からは『月刊囲碁』（월간바둑）に改名し、囲碁に関する情報を発信しています。

主な棋戦

韓国棋院は、数多くの棋戦を主催・共催しています。以下に主な棋戦を記載します。

国内棋戦

国手戦（東亜日報主催）
覇王戦（大韓毎日新聞主催）
最高位戦（釜山日報主催）
王位戦（中央日報主催）
名人戦（韓国日報主催）
KBS杯バドゥク王戦（韓国放送公社主催）
棋聖戦（世界日報主催）
バッカス杯天元戦（スポーツ朝鮮主催）
GSカルテックス杯プロ棋戦（毎日経済新聞、毎経TV主催）
圓益杯十段戦（韓国棋院主催）
プロ女流国手戦（韓国経済新聞主催）
女流名人戦（毎日新聞主催）
女流棋聖戦
韓国囲碁リーグ
利鵬杯新鋭最高位戦

国際棋戦

東洋証券杯世界選手権戦（ソウル経済新聞主催）
三星火災杯世界オープン戦（中央日報、KBS、ユニテル3社共同主催）
LG杯世界棋王戦（朝鮮日報主催）
BCカード杯世界囲碁選手権（BCカード主催）
農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦（農心後援）
湖盤杯世界女子囲碁覇王戦（湖盤建設後援）
宝海杯世界女子選手権戦（韓国経済新聞、KBS共同主催）
正官庄杯世界女子囲碁最強戦（囲碁TV主催）

顕彰

韓国棋院では、棋士の功績を称えるため、様々な賞を授与しています。

1978年 - 1983年：棋道文化賞（最優秀棋士、敢闘賞、新鋭棋士賞など）
1989年 - 1992年：プロ棋士MVP
1993年 - 2002年：囲碁文化賞（最優秀棋士、新鋭棋士、女流、アマチュアなど）
2003年 - ：囲碁大賞（最優秀棋士、人気棋士など）

関連事項

日本棋院
関西棋院
中国棋院
台湾棋院
国際囲碁連盟

外部リンク

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