李琴峰

李琴峰（り ことみ）とは

李琴峰は、日本で活動する台湾出身の小説家および翻訳者です。1989年12月26日に台湾の田舎で生まれ、15歳の時に日本語を学び始めました。彼女は母国語である中国語を用いながら、創作活動には日本語を選び、その魅力を多くの読者に伝えています。

作家としての道のり

李琴峰は、国立台湾大学を卒業した後の2013年に日本へ移住し、早稲田大学大学院の日本語教育研究科で修士課程を修了しました。彼女の作家としてのキャリアが始まるのは、2017年に発表した小説『独舞』（その後、改題され『独り舞』）からです。この作品は、第60回群像新人文学賞において優秀作に選ばれ、作家デビューとなります。創作のきっかけは、通勤電車の中で思いついた「死ぬ」という一語から生まれたと言われています。

その後、2018年には日本の永住権を取得し、彼女の文学的活動はさらなる広がりを見せることになります。2019年には『五つ数えれば三日月が』が第161回芥川龍之介賞候補に選出され、2021年には『ポラリスが降り注ぐ夜』で芸術選奨新人賞を受賞しました。同年には『彼岸花が咲く島』が第34回三島由紀夫賞の候補となり、さらに第165回芥川龍之介賞も獲得しました。

自身のセクシュアリティと作品

李琴峰は、自身のセクシュアリティについて公表しており、作品には多くのセクシュアル・マイノリティのキャラクターが登場します。彼女の文学には、この視点が色濃く反映されており、多様な人々の生き様や感情を豊かに表現しています。彼女自身の経験を基にした作品には、読者に対する深いメッセージが含まれており、多くの支持を集めています。

誹謗中傷被害と法的措置

しかし、作家としての成功は必ずしも平坦ではありませんでした。特に、芥川賞受賞後にはSNS上での誹謗中傷に悩まされ、数名の加害者に対して法的措置をとりました。2023年には台湾在住の40代男性が、懲役4か月の有罪判決を受ける事態となりました。また、2024年7月には、埼玉県在住の60代女性に対し、16万5千円の賠償命令が下されました。これらの経験は、李琴峰にとって非常に厳しい試練ですが、彼女は創作活動を継続しています。

作品リスト

李琴峰の作品は多岐にわたります。代表作には、以下のような小説があります：

• - 『独り舞』（改題前の『独舞』含め）
• - 『五つ数えれば三日月が』
• - 『ポラリスが降り注ぐ夜』
• - 『彼岸花が咲く島』

また、エッセイ集『透明な膜を隔てながら』や、翻訳した文献もあり、国際的な文脈での彼女の視点も加わっています。彼女の作品は、日本だけでなく台湾でも翻訳され、多くの読者に愛されています。

いたるところで彼女の文学的存在感が増すなか、李琴峰の今後に注目が集まっています。今後も多様なテーマを掘り下げながら、彼女がどのような新たな創作を発表していくのか、期待されます。

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