李英和

李英和（リ・ヨンファ）

李英和（リ・ヨンファ、朝鮮語: 리 영화）は、1954年12月22日に在日朝鮮人三世として大阪府堺市に生まれました。彼は2020年3月28日に逝去するまで、北朝鮮研究を通じて社会問題に真摯に向き合ってきました。関西大学経済学部教授として、北朝鮮社会経済論を専門にし、様々な著作を発表しています。また、「在日党」の代表でもあり、在日朝鮮人の権利擁護に尽力しました。

幼少期と教育

李英和は実質的には公立学校で教育を受けました。彼の父は社会主義者で在日本朝鮮人連盟に関与していましたが、金日成に対する個人崇拝には懐疑的でした。家庭は経済的に厳しく、朝鮮学校に通う余裕がなく、日本の公立学校に進学することになりました。堺工業高等学校で機械科を修了し、溶接工として働く一方で関西大学経済学部の夜間部に通い始めます。しかし、当時の在日朝鮮人は非常に貧しく、大学進学が厳しかったため、彼は一流の溶接工になる決心を抱いていました。

大学生活と北朝鮮留学

やがて彼の将来への疑問が生まれ、学生運動への関心から大学に進学します。在学中は反スターリン主義のノンセクト・ラディカルズとして活動し、その途中で朝鮮総連系の団体を除名される事態となりました。大学卒業後は経済学の博士号を取得し、関西大学の助手として働き始めます。

1991年には短期留学として平壌の朝鮮社会科学院に渡り、北朝鮮の実態を直に体験しました。彼が平壌で遭遇した個人崇拝や監視体制、そして経済破綻は、彼の価値観を大きく揺るがせました。この経験は後に『北朝鮮 秘密集会の夜』として纏められました。留学を通じての彼の視線は、日本に帰国する際の貴重な情報源となりました。

在日朝鮮人の権利擁護活動

1992年には「在日党」を設立し、中央北朝鮮における食糧難問題に対して民間ベースでの支援活動を行いましたが、朝鮮総連からの妨害に直面します。その後も、「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク（RENK）」を結成し、北朝鮮の人権問題に取り組む活動を続けます。1997年には北朝鮮の政治体制に対抗する候補者として立候補を試みましたが、受け入れられませんでした。

李英和の活動は、特に北朝鮮の人権状況に対する批判と共に、在日朝鮮人の声を国政に届けるものでした。外国人参政権を求める運動にも参加しており、彼の活動は多方面にわたりました。

著作と影響

李英和は数多くの著作を持つことで知られ、彼の書籍は北朝鮮についての貴重な情報源として評価されています。代表的な著作には『北朝鮮秘密集会の夜』や『北朝鮮収容所半島』などがあり、北朝鮮の実態を明らかにするものとして、広く読まれています。彼の執筆活動は、当時の日本社会における北朝鮮理解に寄与しました。

結論

李英和の活動は、在日朝鮮人や北朝鮮というテーマに対して、新たな視点を提供したと言えるでしょう。彼は、学問だけでなく、実践を通じて在日朝鮮人の権利や北朝鮮の人権問題を広く訴え、波紋を広げました。2020年に彼が亡くなるまで、彼の足跡は様々な形で日本社会に影響を与え続けました。

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