東京ゾンビ

東京ゾンビ

『東京ゾンビ』（とうきょうゾンビ）は、漫画家・花くまゆうさくによる独特な世界観を持つゾンビ漫画作品です。青林工藝舎が発行する漫画雑誌『アックス』の創刊号から9号にかけて連載されました。単行本は全1巻が刊行されており、その不条理かつ個性的な内容は多くの読者にインパクトを与えました。2005年には、この作品を原作とした実写映画も製作・公開されています。

ストーリー

物語は、さびれた消火器工場で働く二人の男、柔術の達人である頭髪の薄いミツオと、生まれつき特徴的なアフロヘアを持つフジオを中心に展開します。半年前に工場へ左遷されてきたミツオは、そこでフジオと出会い、彼に柔術を教え始めます。共に時間を過ごすうちに、二人の間には強い友情が芽生えていきます。

ある日、本社から視察に訪れた、会社生活に疲れきった一人の社員が、ミツオとフジオの仲睦まじい様子を見て嫉妬心を募らせ、ミツオに激しい暴行を加えます。その光景に耐えきれなくなったフジオは、衝動的に近くにあった消火器でその社員を殴って死亡させてしまいます。慌てふためいたミツオとフジオは、社員の遺体を「黒富士」と呼ばれる場所へ埋めることにしました。この黒富士とは、生活ゴミや産業廃棄物、さらには遺棄された死体など、あらゆる種類のゴミが違法に大量に投棄され、山のように積み上がった場所でした。

二人は遺体を埋めてその場を立ち去りますが、恐るべき事態が発生します。黒富士に堆積した産業廃棄物から漏れ出した化学物質と、そこに遺棄されていた死体たちの魂が混じり合った結果、埋められた死体が次々とゾンビへと変貌し始めたのです。ゾンビたちは黒富士から下りて市街地へと侵攻し、人々を無差別に襲い始めます。平和な日常は突如として崩壊し、ミツオとフジオは、自らが引き起こした事件が招いたこの未曽有のゾンビパニックの中で、生き残りをかけた戦いに巻き込まれていくことになります。

書誌情報

単行本は青林工藝舎より全1巻が刊行されています。

『東京ゾンビ』
1999年9月初版発行
ISBN 4-88379-038-X

映画

漫画を原作とした実写映画『東京ゾンビ』は、2005年12月10日に公開されました。これが長編映画監督デビュー作となった佐藤佐吉がメガホンを取り、主演を浅野忠信と哀川翔が務めました。原作の不条理な世界観を映像で表現し、話題となりました。

また、2007年9月8日には、原作者である花くまゆうさく自身が監督・主演を務めたスピンオフ作品『東京ゾンビ外伝』も公開されています。

キャスト

主要なキャストとして、フジオ役を浅野忠信が、ミツオ役を哀川翔が演じました。その他の出演者には、奥田恵梨華、古田新太、志賀廣太郎、菅原大吉、楳図かずお（秋山先生/王子役）などが名を連ねています。

スタッフ

監督・脚本は佐藤佐吉。プロデューサーは豊嶋勇作、梅川治男。撮影は石井勲、美術は稲垣尚夫が担当しました。音楽は二見裕志、RAAZKUINTEDが手掛け、主題歌にはTHE HOMESICKSの「ココロかよわせて」が起用されています。制作プロダクションはデジタル・フロンティアです。

映像商品

映画『東京ゾンビ』は、2006年7月28日にハピネットピクチャーズより「東京ゾンビ プレミアム・オブ・ザ・デッド」のタイトルでDVDが発売されています。

外部リンク

allcinema: 東京ゾンビ
KINENOTE: 東京ゾンビ
IMDb: Tokyo Zombie (2005)

などの映画データベースサイトで情報を参照可能です。

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