東武宇都宮線

東武宇都宮線：栃木県中南部を走る路線の現状と課題

東武宇都宮線は、栃木県栃木市の新栃木駅から宇都宮市の東武宇都宮駅までを結ぶ、東武鉄道の鉄道路線です。愛称は「いちご王国」ライン。宇都宮市中心部と南西部、さらに壬生町や栃木市を結ぶ重要な路線として、多くの利用客を抱えています。駅ナンバリングではTNを使用しています。

路線概要と利用状況

全長24.3kmの路線は全線が単線ですが、全駅に列車交換設備が設置されています。また、複線化用地が確保されていた形跡もあることから、将来的な拡張の可能性も示唆されます。東武宇都宮駅はJR宇都宮駅よりも市の中心部に近く、併設の東武宇都宮百貨店も集客に大きく貢献しています。沿線には住宅地や医療施設、競技場などが整備され、地域社会に密着した路線となっています。

1日あたりの利用客数は約24000人（2016年度）。東武日光線などの幹線路線と比較すると支線的な位置づけですが、東武宇都宮駅を中心とした利用が非常に多く、「宇都宮南西部における都市鉄道」または「県央地域における都市近郊路線」としての性格が強いと言えます。特に朝ラッシュ時の東武宇都宮駅行きは、改札口の位置関係から先頭車両が非常に混雑しやすいのが現状です。

東京方面へのアクセスと運行形態

東京方面へのアクセスは、JR線に比べて所要時間や利用客数で大きく劣っています。かつては浅草駅への直通特急や急行、準急などが運行されていましたが、現在は廃止され、新栃木駅や日光線南栗橋駅からの普通列車が中心となっています。東京方面への中距離需要は、栃木駅で特急列車への乗り換えで対応していますが、それでも浅草駅までの所要時間は1時間50分と、JR快速列車（1時間30分）より長く、利便性の向上が課題となっています。(2024年春のJRダイヤ改正により、宇都宮駅から上野駅を結ぶ上りの快速列車「ラビット」は廃止されました)。

東武鉄道では唯一、定期列車が全てVVVFインバータ制御車両で運行されています。運行本数は、伊勢崎・日光線の支線としては充実しており、1時間あたりの運行頻度は昼間で2本、ラッシュ時は2～4本です。列車の約半数は日光線に直通し南栗橋駅まで運行され、残りは新栃木駅で折り返します。ほとんどの列車が栃木駅で特急「けごん」などの特急列車や日光線各列車と接続しており、浅草・東武日光方面へのアクセスを担っています。

各駅停車で、運転士によるドア開閉となっています。

使用車両

現在は20400型が主に使用されています。これは日比谷線直通車両の70000系への置き換えで余剰となった20000系をリニューアルしたものです。350型が運用終了したことで、東武鉄道の路線では初めて全ての定期運用車両がVVVFインバータ制御となりました。過去には3070系、5050系、6050系、8000系、10000系、30000系、350系などが使用されていましたが、現在は全て廃車となっています。

歴史

宇都宮線は1931年8月11日に全線開業しました。当初は複線化が計画されていましたが、昭和恐慌の影響で単線となりました。開業以来、東京方面への直通列車が運行されてきましたが、近年は運行本数の減少や廃止が続いています。2006年には特急「しもつけ」以外の浅草直通列車が廃止され、2020年には特急「しもつけ」も廃止されました。2023年には路線愛称として「いちご王国」ラインが設定されました。

開業以来、様々な車両が使用されてきました。近年はワンマン運転の導入や新型車両の導入なども行われています。2015年には関東・東北豪雨で被災し、一時的に全線不通となりましたが、その後復旧しています。

フリー乗車DAY

毎年6月15日（栃木県民の日）の近隣土曜日には「東武宇都宮線フリー乗車DAY」が開催され、栃木駅～東武宇都宮駅間が無料で利用できます。このイベントは、栃木県のPRと地域活性化を目的としています。イベント当日は、いちごをモチーフにしたフリー乗車券が配布され、沿線の施設でも様々なイベントが開催されます。

宇都宮ライトレールとの接続構想

将来的な宇都宮ライトレール線との接続が計画されており、東武宇都宮駅とLRT停留場を直通させる構想も検討されています。実現すれば、宇都宮市内の交通利便性が大幅に向上すると期待されています。しかし、駅と停留場の間の距離や、直通運転の技術的課題など、解決すべき問題も残されています。

まとめ

東武宇都宮線は、地域に密着した重要な路線ですが、東京方面へのアクセス向上やLRTとの連携など、課題も多く残されています。今後の発展に注目が集まっています。

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