東海道昼特急号

東海道昼特急号：東京と大阪を結んだ高速バスの歴史

東海道昼特急号は、かつて東京と大阪を主に東名高速道路と新名神高速道路を経由して結んでいた昼行高速バスです。この路線は、規制緩和によって高速バス事業への新規参入が増加する中で、既存の事業者、特にJRバス関東と西日本JRバスが、夜行バスで使用していた車両を昼間にも活用することで、効率的な輸送サービスを提供するために生まれました。

誕生の背景

2001年12月、時間にゆとりのある若年層をターゲットに、東京～大阪間で1日4往復の運行を開始しました。しかし、実際には若年層だけでなく、幅広い年齢層に支持され、予約が困難になるほどの人気を博しました。その後、増便や路線拡大を行い、京都発着便や中央自動車道経由の便も設定されました。特に景色が良いと評判で、休日には高い乗車率を記録しました。

路線と愛称の変遷

当初、マルスシステムに登録するためにつけられた仮の愛称「東海道昼特急大阪号」が、好評だったため正式なブランド名として採用されました。この成功は、長距離昼行高速バスの採算性を証明し、他社にも大きな影響を与え、同様の路線開設を促しました。また、この取り組みは「日経優秀製品・サービス賞」を受賞し、その革新性が評価されました。

デラックス版と廉価版の登場

その後、2006年にデラックス版の「プレミアム昼特急号」、2008年に廉価版の「青春昼特急号」、2014年にはさらにデラックスな「グラン昼特急号」が運行を開始しました。

プレミアム昼特急号: デラックス車両を使用
青春昼特急号: 4列シート車両を使用
グラン昼特急号: ハイデッカー車、後に2階建てバスを使用

2010年には大阪系統と京都系統が統合され、京都駅には大阪発着便が立ち寄る形に変更されました。2017年には「青春昼特急号」が増便され、「プレミアム昼特急号」が廃止されました。2019年には中央自動車道経由の「中央道昼特急号」が廃止され、全便が東名高速道路・新名神高速道路経由となりました。

2020年からは標準タイプの「東海道昼特急号」の運行が終了し、「グラン昼特急号」と「青春昼特急号」の2種類に集約されました。

運行ルートの変更

2021年には御殿場JCT・豊田東JCT間を新東名高速道路経由に変更し、所要時間を最大30分短縮しました。2023年8月には上り便の「池尻大橋」バス停が廃止されました。

運行会社

ジェイアールバス関東
西日本ジェイアールバス

運行は、新城を境にJRバス関東と西日本JRバスが担当し、過去には三ヶ日インターチェンジで乗務員交代が行われていました。中央道経由の便では小黒川パーキングエリアを境に乗務員交代が行われていました。

運行経路

東京駅発着は八重洲南口（出発）と日本橋口（到着）を利用します。繁忙期にはバスタ新宿を経由し、京都駅、大阪駅へ直行する便もあります。

停車箇所は以下の通りです。

東京駅
東名御殿場（上り降車、下り乗車のみ）
新城（道の駅もっくる新城）（乗降両方）
京都深草
大阪駅（上り乗車、下り降車のみ）

過去の運行経路

過去には、以下のような経路で運行されていました。

東海道昼特急号・東海道昼特急大阪号: 東京駅、バスタ新宿、池尻大橋、東名各インター、京都駅、大阪駅
中央道昼特急号: 東京駅、バスタ新宿、中央道各インター、名神各インター、大阪駅、湊町バスターミナル
中央道昼特急京都号: 東京駅、新宿駅、中央道各インター、名神各インター、京都駅
東海道昼特急京都号: 東京駅、新宿駅、池尻大橋、東名各インター、土山バスストップ、京都駅

途中休憩は、足柄SA、浜名湖SA、甲南PAなどで行われていました。新名神高速道路開通前は養老SAで休憩していました。

使用車両

「グラン昼特急号」は、当初ハイデッカー車が使用されていましたが、後に2階建てバスに置き換えられました。「青春昼特急号」は、4列シートの2階建てバスまたはハイデッカー車両を使用しています。かつての「東海道昼特急号」には独立3列シートの2階建てバス、「プレミアム昼特急号」には3列シートと2列シートの2階建てバスが使用されていました。

路線沿革

2001年

12月1日: 「東海道昼特急大阪号」運行開始

2002年

3月10日: 「東海道昼特急大阪号」増便、「中央道昼特急京都号」運行開始
12月20日: 「東海道昼特急大阪号」増便、「東海道昼特急ゆったり号」運行開始

2003年

7月18日: 「中央道昼特急大阪号」・「東海道昼特急京都号」運行開始
8月18日: JRバス関東乗務員の酒気帯び運転事故発生
11月4日：JRバス関東運行停止処分による西日本JRバスのみの運行

2004年

7月16日: 「中央道昼特急京都号」・「中央道昼特急大阪号」にバス停追加

2005年

11月1日：停車駅増加

2006年

6月1日: 「東海道昼特急大阪号」一部便を「プレミアム昼特急号」に変更、「東海道昼特急ゆったり号」廃止

2007年

3月18日: 座席リニューアル、「プレミアム昼特急号」運賃改定

2008年

1月16日: 一部便を新宿駅経由に変更、「プレミアム昼特急」減便、「中央道昼特急京都号」全便東京駅発着・新宿駅経由
3月17日: 「青春昼特急号」運行開始
4月1日: 女性専用席導入
7月1日: 「東海道昼特急大阪号」新名神経由に変更、土山BS停車、一部便は湊町発着、「東海道昼特急京都号」全便新宿駅経由

2009年

3月13日: 「青春昼特急号」運行日拡大

2010年

7月1日: 京都駅発着廃止、愛称統一

2011年

3月11日: 「青春昼特急号」毎日運行便が京都駅経由

2014年

7月18日: 「中央道昼特急号」一部便を「東海道昼特急号」に振替
11月25日: 「グラン昼特急号」特別ダイヤ運行開始
12月19日: 「グラン昼特急号」毎日運行開始

2017年

4月1日: 「プレミアム昼特急号」廃止、「青春昼特急号」増便

2019年

5月17日: 「中央道昼特急号」廃止、土山BSなどのバス停を廃止、「グラン昼特急号」に振替

2020年

4月8日：新型コロナウイルス感染拡大の影響で一部便運休
6月1日：一部便運行再開
7月3日：一部便運行再開
7月22日：一部便運行再開
7月27日：青春昼特急号が当面の間運休
8月1日: 「東海道昼特急号」運行終了、「グラン昼特急号」にダブルデッカー導入
8月19日：グラン昼特急号の一部便が当面の間運休
12月1日: ダイヤ改正、全便バスタ新宿経由、京都駅に乗り入れ

2021年

10月28日: 新東名高速道路経由に変更、東名綾瀬などのバス停停車、東名富士などのバス停廃止

2022年

8月1日: 東名厚木バス停を廃止

2023年

8月1日：池尻大橋バス停を廃止

2024年

11月24日：ジェイアールバス関東の運行する青春昼特急4号が追突事故を起こす

まとめ

東海道昼特急号は、時代の変化に対応しながら、様々な形態で運行されてきました。その歴史は、高速バス業界の発展とともにあり、多くの人々に利用されてきた重要な交通手段でした。現在は「グラン昼特急号」と「青春昼特急号」が、その役割を担っています。

脚注

[※1] 新規参入により競争激化が予想される中、既存事業者は資産を有効活用し、効率的な輸送サービスを提供する必要に迫られていた。
[※2] 「昼特急」の愛称が定着したため、そのまま正式なブランド名として使用。
[※3] この路線の成功が他の事業者にも影響を与え、長距離昼行高速バス路線が続々と開設されるきっかけとなった。
[※4] 2002年度の「日経優秀製品・サービス賞」で日経MJ賞最優秀賞を受賞。
[※5] 2010年 7月1日に大阪系統と京都系統が統合
[※6] 新東名高速道路経由への変更により所要時間が最大30分短縮

外部リンク

JRバス関東東京・新宿 - 京都・大阪昼行便

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