柏葉幸子

柏葉幸子

柏葉幸子（かしわば さちこ）は、1953年6月9日生まれの日本の児童文学作家、翻訳家です。岩手県宮古市で生まれ、花巻市で育ち、現在は盛岡市に在住しています。東北薬科大学（現:東北医科薬科大学）を卒業後、薬剤師として働きながら作家活動を続けています。日本ペンクラブ会員でもあります。

経歴

1969年に岩手県立花巻北高等学校に入学し、1972年に東北薬科大学へ進学しました。大学在学中の1974年、『気ちがい通りのリナ』で第15回講談社児童文学新人賞を受賞。翌1975年に同作を『霧のむこうのふしぎな町』と改題して刊行し、作家としてデビューしました。

1976年に東北薬科大学を卒業後、盛岡市で薬剤師として勤務しながら、創作活動を継続。2019年には、累計発行部数50万部を突破したベストセラー『地下室からのふしぎな旅』を原作としたアニメ映画『バースデー・ワンダーランド』が劇場公開され、話題となりました。

2021年には、第54回野間児童文芸賞を受賞した『岬のマヨイガ』を原作とするアニメ映画が公開されました。この作品は、東日本大震災で甚大な被害を受けた東北3県（岩手県、宮城県、福島県）を舞台に、被災地への長期的な支援を目的としたフジテレビの企画「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」の第一弾として制作されました。同年には、岩手県の「いわて暮らしアンバサダー」に就任しています。

また、2021年には初の一般向け小説となる長編『亜ノ国へ 水と竜の娘たち』を刊行し、新たな分野への挑戦も行っています。

人物

柏葉幸子は、児童文学の世界において、見ず知らずの子供と大人が出会い、血縁関係を超えた親子の絆を結ぶ物語を数多く手がけてきました。その作風は、和製ファンタジーの旗手として独自の存在感を放っています。彼女の作品では、大人が子供を守る役割を担う一方で、子供の存在が大人を支え、守るという相互的な関係性が描かれているのが特徴です。

デビュー作である『霧のむこうのふしぎな町』は、宮崎駿監督のアニメ映画『千と千尋の神隠し』に影響を与えたことでも知られています。

受賞歴

1974年 - 第15回講談社児童文学新人賞（『気ちがい通りのリナ』）
1976年 - 第9回日本児童文学者協会新人賞
1998年 - 第45回産経児童出版文化賞（『ミラクル・ファミリー』）
2007年 - 第54回産経児童出版文化賞大賞（『牡丹さんの不思議な毎日』）
2010年 - 第59回小学館児童出版文化賞（『つづきの図書館』）
2016年 - 第54回野間児童文芸賞（『岬のマヨイガ』）
2022年 - The Batchelder Award（『Temple Alley Summer』：『帰命寺横丁の夏』の英訳版）

主な著書

『霧のむこうのふしぎな町』（講談社）
『地下室からのふしぎな旅』（講談社）
『岬のマヨイガ』（講談社）
『亜ノ国ヘ 水と竜の娘たち』（角川書店）
「モンスター・ホテル」シリーズ（小峰書店）
『帰命寺横丁の夏』（講談社）
『つづきの図書館』（講談社）

柏葉幸子は、子供たちの心に寄り添い、温かい物語を紡ぎ出すことで、多くの読者に感動と勇気を与え続けています。

もう一度検索