桜玉吉

桜 玉吉: 日本の漫画家・イラストレーター

桜 玉吉（さくら たまきち、本名：野澤 朗）は、1961年3月2日に東京都で生まれた日本の漫画家兼イラストレーターです。東京都立芸術高等学校を卒業後、多摩美術大学を中退し、有限会社「玉屋」の社長として活動しています。彼の作品は主にエンターブレインや旧アスキー出版の雑誌で掲載されており、漫画日記やコンピュータゲームをテーマにしたギャグ漫画が特徴です。

経歴と代表作

桜の漫画家としてのキャリアは、1986年にアスキー発行の「ファミコン通信」で連載が開始された『しあわせのかたち』によって始まりました。この作品はファミコンゲームのパロディを扱い、8年間の連載にわたって人気を博しました。さらにはOVA化やドラマCD化もされ、アスキーの漫画部門設立の契機になったとも言われています。

しかし、1991年には作者の体調不良で連載が一時中断されました。その後、形式を日記漫画に変え、時には業界関係者を登場させながら、日常の出来事をユーモラスに描くことに注力しました。特に『ラブラブROUTE21』という暗黒舞踏漫画は、この時期に生まれました。

また、`しあわせのそねみ`では、今までの作風を変え、写実風でひねくれた内容を数回にわたって展開しました。この作品の反響により、桜玉吉はその後のエッセイ漫画作風を確立していきます。『しあわせのかたち』は1994年に終了し、作中では玉吉本人がカービィ星へ行く形で最後を迎えました。

次のステップ: 漫玉日記

その後、桜は「ファミコミ」誌で『トル玉の大冒険』を連載し、さらに月刊コミックビームに移籍後、『防衛漫玉日記』にタイトルを変更しました。私生活における変化や虚脱状態を抱えながらも、活動を続け、1998年に『幽玄漫玉日記』を開始しました。この作品では彼の内部的な葛藤や鬱の影響が反映され、自己模倣を描いたユーモラスな内容を展開しています。

近年の活動

近年では、作品の連載が減少しつつも、東日本大震災を契機にうつ病が徐々に回復。2012年には『3・11金曜日』を発表し、震災時のエピソードをまとめた短編作品『漫喫漫玉日記 深夜便』も登場しました。2013年には『日々我人間（ヒビワレニンゲン）』の連載を開始し、現在も絶え間なく新しい作品に取り組んでいます。また、伊豆での生活を描く『伊豆漫玉日記』も不定期に連載し、彼の私生活や作品への思考を展開しています。

作風と特徴

桜玉吉の作品は、アニメ風デフォルメ、筆を使った水墨画、緻密に描写された写実的なスタイルが特徴で、作品によって巧みに使い分けられています。また、実在する人物を登場させる際に独自のキャラクター付けを行うため、必ずしもその人物の本来の性格や行動とは一致しないことがあります。彼のユーモラスな日記形式では、身の回りの出来事を描くことで、周囲の人々との関係や葛藤を表現し、自身の生活の中での内面的な闘争を描き出しています。

桜玉吉は、個性的な視点を持ちながら日本の漫画シーンで独自の地位を築き上げた存在であり、日々進化し続ける創作活動は多くのファンに支持されています。

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