桝田省治

桝田省治：ゲーム業界の異才、そのクリエイティブな軌跡

桝田省治氏は、1960年兵庫県姫路市生まれのゲームデザイナー、作家である。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業後、広告代理店I&Sに入社。同社で培った経験は、後のゲームクリエイターへの転身を促す大きな要因となった。

広告からゲーム業界へ

I&S時代、桝田氏はハドソンの広告を担当。その縁から『天外魔境 ZIRIA』の広告制作に関わったが、開発の遅延をきっかけに制作現場に携わることとなる。これが、桝田氏のゲーム業界への本格的な参入の始まりだった。その後、広告代理店を退社し、ゲーム制作に専念する道を選ぶ。

代表作『天外魔境II 卍MARU』と独特のシナリオ

『天外魔境II 卍MARU』ではディレクターとシナリオを担当。この作品で、桝田氏独特のシナリオスタイルが確立された。それは、プレイヤーの予想を裏切る展開や、CEROギリギリの刺激的な描写を特徴とするものだ。公式攻略本では「もっと下世話に、もっと猥雑に。」というコンセプトを掲げ、後の作品『リンダキューブ』の攻略本では『天外魔境II』のシナリオ制作におけるストレスを吐露している。この発言からも、彼の創作活動における強い個性と、その裏にある葛藤が垣間見える。

多彩なゲーム作品への貢献

桝田氏は『メタルマックス』シリーズにも初期から関与。クレジット上はプロデューサーだが、実際にはシナリオやゲームデザインにも深く関わっていた。また、『桃太郎電鉄』シリーズにも長年携わり、演出やシナリオ補佐など様々な役割を担っている。その他にも、『俺の屍を越えてゆけ』シリーズ、『勇者死す。』シリーズなど、数々のゲーム作品で、ディレクター、シナリオライター、ゲームデザイナーなど、幅広い役割を担ってきた。その作品群は、彼のクリエイティブな才能と、多様なゲームジャンルへの造詣の深さを示している。

高山みなみ氏とのエピソード

『天外魔境II』制作時、声優の高山みなみ氏を端役として起用したことを後悔した桝田氏は、以降の作品では高山氏を重要なキャラクターに配役するようになったというエピソードも有名だ。このエピソードは、彼のクリエイターとしての誠実さと、作品への強いこだわりを象徴している。

作家としての活動

2006年以降は、ゲームデザインの傍ら、小説家としての活動も開始。ライトノベル『鬼切り夜鳥子』シリーズや『ハルカ』シリーズなどを執筆し、人気作家としての地位も確立している。その小説にも、ゲームデザインで培われた独特の世界観やストーリーテリングが活かされており、彼の創作活動における多角的な才能が伺える。

まとめ

桝田省治氏は、広告代理店という異色の経歴からゲーム業界に飛び込み、数々のヒット作品を生み出した稀有な存在だ。独特のシナリオセンスと、プレイヤーを驚かせる展開を得意とする一方、自身の作品に強いこだわりと情熱を持ち続けている。ゲームデザイナー、小説家として、両分野で活躍を続ける彼の今後の活動にも注目したい。彼の作品は、ゲームや小説という枠を超えて、多くのファンを魅了し続けている。

主な作品:

ゲーム: 『天外魔境II 卍MARU』、『メタルマックス』シリーズ、『桃太郎電鉄』シリーズ、『俺の屍を越えてゆけ』シリーズ、『リンダキューブ』など多数
小説: 『鬼切り夜鳥子』シリーズ、『ハルカ』シリーズ、『ジョン&マリー ふたりは賞金稼ぎ』など

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