椛島

椛島（かばしま）: 五島列島の小さな島

椛島（かばしま）は、長崎県が管轄する五島列島の中の一つで、福江島から約80km西方に位置しています。この島は、五島列島の中で8番目に大きく、山が約85%を占めており、わずかな平地に主な集落が点在しています。

地理と人口

2019年6月の時点で、椛島の人口は125人でした。島は主に二つの町、伊福貴町と本窯町から構成されており、各町にそれぞれ集落と港があります。伊福貴港と本窯港の周囲には、生活の中心となる集落が形成されており、他にも芦ノ浦、首ノ浦、竹ノ浦などの小さな集落が点在しています。

椛島には最高峰の到彦山（326m）があり、自然の美しい風景を楽しむことができます。これらの地域は、歴史的な背景を持ち、人々が何世代にもわたり生活を営んできました。

歴史的背景

椛島の歴史は古く、島内からは縄文前期の石器が発見されており、数千年前には人々が住んでいたことがわかります。承元四年（1210年）、平家の落人である伊王三郎が家臣27人と共に住みついたのが、椛島の歴史の始まりとされています。その後、韓国からの移民やキリシタンも加わり、独自の文化が形成されました。

1889年4月には南松浦郡樺島村が設立され、1948年には人口が3,000人を超えるほど栄えていましたが、その後は漁業の疲弊や経済成長に伴う人口流出が進み、1957年には福江市に編入されて自治体としての役割を終えました。2015年には人口が150人まで減少しました。

経済と産業

椛島の主な産業は漁業で、はえなわ漁や刺し網漁、一本釣り漁が主に行われています。かつては農業も行われていましたが、現在では家庭菜園程度の規模の農業が残るのみです。本窯地区には採石場やマグロの養殖場があり、地元の水産物を生かした加工場も存在します。

生活環境

椛島へのアクセスは、福江港から出航する木口汽船の定期便を利用することができます。福江港からそれぞれの港まで約20～30分で接続されており、交通の便は比較的良好です。ただし、島内には公共交通機関がないため、住民は自家用車を利用しています。

買い物は伊福貴にある個人商店や酒店、自動販売機が主な手段です。医療機関としては伊福貴診療所があり、定期的に医師が常駐しますが、医療体制は限られています。

教育機関

椛島にある小中学校は、2016年には全校生徒が1人にまで減少し、2017年には完全に休校となりました。現在は福江小学校の分校として扱われています。

文化や祭り

椛島にはいくつかの神社が存在し、地域の祭りも行われています。椛島神社の例祭や、蛭子神社祭、八坂神社の祇園祭は、地域住民にとって重要なイベントです。これらの祭りは地域の伝統を受け継ぐ大切な行事として、多くの人々に親しまれています。

自然の美しさ

島には美しい自然が広がっており、長刀岩や天見ヶ浦などの景勝地を訪れることができます。こうした名所は、観光客や地元住民に愛されるスポットとなっています。椛島は小さな島ですが、その歴史と文化、自然の美しさを感じられる場所となっています。

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