木口汽船

有限会社木口汽船：五島列島の島々を結ぶ航路を支える海運会社

有限会社木口汽船は、長崎県五島市に本社を置く海運会社です。1967年4月の設立以来、五島列島の福江島と、その周辺の二次離島である久賀島、椛島を結ぶ重要な航路を運航し、地域住民の生活を支えています。

概要

木口汽船は、福江港（福江島）と田の浦（久賀島）、福江港と本窯・伊福貴（椛島）を結ぶフェリーと高速船を運航しています。これらの定期航路に加え、定期航路の合間を利用して、観光船や水中観光船（グラスボート）の運航も行っており、観光客にも五島列島の魅力を届けています。

特筆すべきは、椛島航路の歴史です。この航路は元々、桑原海運によって運航されていましたが、同社の経営悪化により航路が休止されることになりました。2009年9月1日に桑原海運が運休を発表した後、五島市は緊急措置として海上タクシーをチャーターし、一時的に航路を維持しました。同年10月1日からは、隣接する久賀島航路を運航していた木口汽船が航路を引き継ぎ、現在に至ります。その後、桑原海運は補助金の不正受給が発覚し、2010年2月に経営破綻しました。

木口汽船は、離島航路確保維持事業に基づき、国、長崎県、五島市から離島航路構造改革補助金の交付を受けています。また、長崎県離島航路対策協議会において、航路維持のための取り組みが継続的に検討されています。

運航航路

久賀島航路
福江港 - 田の浦：「フェリーひさか」が1日2往復、「シーガル」が1日3往復運航。
奥浦 - 田の浦：「フェリーひさか」が1日2往復運航。
椛島航路
福江港 - 本窯 - 伊福貴：「ソレイユ」が1日3往復運航。本窯へは1便の往路、2便・3便の復路のみ寄港。「ソレイユ」のドック期間中や代船貸出時は「シーガル」が代走することがあります。
福江港 - 本窯：「フェリーひさか」が毎月12日・17日のみ1往復運航。

船舶

木口汽船は、フェリー1隻と旅客船2隻を運航しています。各船は、それぞれ異なるカラフルな船体塗装が施されており、「フェリーひさか」はピンク、「ソレイユ」はグリーン、「シーガル」はイエローとなっています。「フェリーひさか」は両舷の側面中央部にランプが設けられている点が特徴的です。また、「シーガル」は旅客船と水中観光船（グラスボート）の機能を兼ね備えています。

就航中の船舶

フェリーひさか（2代・フェリー）
2010年12月24日進水、2011年3月15日竣工、同年3月20日就航。井筒造船所建造。
総トン数: 155トン、全長: 30.7m、全幅: 8.2m、深さ: 2.9m、満載喫水: 1.85m
ディーゼルエンジン2基、機関出力: 405kW×2、航海速力: 12.8ノット
乗組員: 6名、旅客定員: 65名、4トントラック2台、普通乗用車4台積載可能
ソレイユ（2代・高速旅客船）
2014年2月進水、同年3月21日竣工、同年4月1日就航。ツネイシクラフト&ファシリティーズ建造。
総トン数: 19トン、全長: 21.4m、全幅: 4.36m、深さ: 1.45m
ディーゼルエンジン（ヤンマー 6HYP-WET）2基、機関出力: 423kW×2、最大速力: 29.02ノット（試運転）、航海速力: 24.0ノット
乗組員: 4名、旅客定員: 60名、限定沿海
バウスラスター、乗船用油圧タラップ、船尾トリムフラップ、バリアフリー対応
シーガル（2代・高速旅客船兼水中観光船）
2000年6月23日竣工、神原海洋開発建造。
総トン数: 19トン、全長: 21.55m、登録長: 18.80m、型幅: 3.90m、型深さ: 1.70m
ディーゼルエンジン（三菱 S6D-MTKL）2基、機関出力: 382kW×2、最大速力: 26ノット
乗組員: 2名、旅客定員: 66名、限定沿海
* 半潜水式海中展望船、減揺装置（コントロール・モーメント・ジャイロ）装備

まとめ

木口汽船は、五島列島の島々を結ぶ重要な交通手段を提供するとともに、観光客に地域の魅力を伝える役割も担っています。老朽化した船舶の更新や、離島航路の維持という課題を抱えながらも、地域社会に貢献する企業として、その存在は不可欠です。

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