樊

樊（はん）

樊は、中国周代に存在した諸侯国の一つです。その歴史は、樊邑に封じられた仲山甫に始まります。

起源

樊の起源は、周の宣王の時代に遡ります。『元和姓纂』や『通志』氏族略によると、宣王は文王の子である虞仲の末裔、仲山甫を樊邑（現在の陝西省西安市長安区の南東）に封じました。この際に仲山甫は姓を樊と改め、樊姓の始祖となりました。仲山甫は、「樊仲山甫」、「樊仲山」、「樊穆仲」とも呼ばれています。

初期の樊は、樊邑を拠点としていましたが、春秋時代には陽邑（現在の河南省済源市）へと遷り、以後、「陽樊」とも呼ばれるようになりました。

滅亡

樊は、襄王17年（紀元前635年）にその歴史に幕を閉じます。当時、樊の君主であった樊仲皮は、東周の恵王に反乱を起こしました。この反乱に対し、恵王は虢公を派遣し、樊仲皮を討伐しました。紀元前664年の春、虢公は樊に攻め入り、樊仲皮を捕虜としました。その後、襄王は陽樊の地を晋に下賜し、樊の領土は晋の所有となりました。

樊の滅亡は、周王朝の衰退と諸侯国の興亡を象徴する出来事の一つと言えるでしょう。

歴代君主

樊の歴代君主については、史料が限られており、詳細な系譜は不明です。しかし、樊仲山甫、樊仲皮といった君主が存在したことは記録されています。


樊は、短くとも歴史に名を残した古代の国でした。その興亡は、古代中国の政治情勢を理解する上で重要な手がかりとなります。

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