樋口明雄

樋口 明雄（ひぐち あきお）

1960年1月30日生まれの日本の小説家。山口県岩国市出身。その創作活動は、冒険小説や山岳小説を主軸としながらも、SF、ライトノベル、さらにはゲームブックに至るまで、非常に幅広い分野に及んでいます。

作家としての歩みと多様なジャンル

広島工業大学附属広島高等学校を経て明治学院大学法学部法律学科を卒業後、雑誌記者やフリーライターとしての経験を積み、作家活動に入りました。初期にはゲームブックやライトノベルの分野で数多くの作品を手がけ、『ルパン三世』や人気ゲームシリーズのノベライズ・ゲームブック化なども行っています。この時期の経験が、後の多様な作風の基盤を築いたと言えるでしょう。

長編小説では、ハードなアクションやミステリー、山を舞台にした骨太な物語を展開しています。『頭弾』や『狼叫』、『狼は瞑らない』、『光の山脈』などが代表作として挙げられます。中でも、山岳救助隊の活躍を描く「南アルプス山岳救助隊K-9」シリーズは人気が高く、『天空の犬』、『ハルカの空』、『ブロッケンの悪魔』、『火竜の山（炎の岳）』、『白い標的』など、続々と発表されています。

実話怪談への貢献

小説家としての活動と並行して、実話怪談の分野でも重要な役割を果たしています。黎明期の実話怪談ブームを牽引した『「超」怖い話』シリーズでは、2代目編著者として多くの怪談を世に送り出しました。このシリーズでの経験は、ホラー要素を含む自身のフィクション作品にも影響を与えている可能性があります。

受賞歴

その作家としての実力は、数々の受賞歴によっても証明されています。特に、2008年に発表された『約束の地』は高く評価され、第27回日本冒険小説協会大賞、そして第12回大藪春彦賞を立て続けに受賞するという快挙を成し遂げました。また、2013年には『ミッドナイト・ラン！』が第2回エキナカ書店大賞を受賞しており、幅広い読者層からの支持を得ています。

山梨での生活と自然との関わり

現在は山梨県北杜市を拠点に活動しており、山梨県自然監視員も務めています。こうした自然に近い環境での生活や、山に関わる活動は、リアリティ溢れる山岳小説の創作に深く結びついています。山や自然をテーマにしたエッセイも発表しており、『山がくれた百のよろこび』や『北岳山小屋物語』などがあります。

小説、ゲームブック、怪談、エッセイ、そして脚本（アニメ『ルパン三世 PART6』の一部エピソードを担当）と、その表現方法は多岐にわたり、常に新たな物語世界を追求し続けている作家です。その作品群は、ジャンルの垣根を越え、多くの読者を魅了しています。

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