樋屋奇応丸

樋屋奇応丸（ひや きおうがん）について

樋屋奇応丸は、大阪市に本社を置く樋屋製薬株式会社が製造している、乳幼児向けの医薬品です。主に、乳幼児の「疳の虫（かんのむし）」に起因する夜泣きや下痢などの症状に効果があるとされています。製品名としては、ひらがなで「ひや・きおーがん」と表記されることもあります。また、かつては「樋屋竒應丸」という表記が用いられていました。

医薬品としての特徴

樋屋奇応丸は、ジャコウ、ユウタン、ジンコウ、ニンジンの4種類の生薬を有効成分として配合した小児五疳薬です。製品によっては、さらにゴオウが配合されているものもあります。

その形状は、細字ボールペンの先端ほどの大きさの微細な銀色の錠剤で、すべて自然由来の成分から作られています。そのため、0歳の乳幼児からでも服用できるという特徴があります。製品によっては、飲みやすくするために糖衣でコーティングされているものもあります。

歴史

奇応丸の起源については、一説には8世紀に唐から鑑真によって伝えられた妙薬であるとも言われています。16世紀頃には、日本各地で「奇応丸」の名を冠する複数の処方の薬が存在していたとされていますが、確かなことは分かっていません。

各地に伝わった「奇応丸」は、ジャコウ、ユウタン、ジンコウ、ニンジンの4種の生薬と金箔を原料とする点が共通していました。江戸時代に入り、大坂の初代樋屋坂上忠兵衛が、これらの処方を参考に、貴重な生薬を原料とする奇応丸を、丸剤一粒ずつを小さくすることで価格を下げ、広く普及させました。

販売について

2011年5月には、大幸薬品株式会社と樋屋奇応丸の11品目に関して、独占国内販売権契約が締結されました。これにより、大幸薬品がこれらの製品の発売元となり、販売は樋屋奇応丸株式会社から引き継がれました。

しかし、2016年3月23日には、同年5月18日をもって大幸薬品との独占国内販売権契約が満了することが発表され、翌19日からは、再び樋屋奇応丸株式会社が発売元となりました。同時に、製品のリニューアルも行われました。

CMソングと知名度

樋屋奇応丸のテレビコマーシャルで流れるCMソングは、マヒナスターズが歌うテンポの良い曲で、非常に印象深く、高い知名度を誇ります。現在でもこの曲をアレンジしたコマーシャルが放送されています。

競走馬「ヒヤキオーガン」

樋屋奇応丸の商品名から命名された競走馬「ヒヤキオーガン」も存在します。1951年生まれのオスで、父はクモハタ、母は十九照という血統のサラブレッドです。当時の樋屋製薬社長・坂上忠兵衛と生産者・吉田権三郎との共同所有で、29戦11勝という戦績を残し、主な勝ち鞍として阪神大賞典や日本経済新春杯があります。

当時は「商品名を馬名として登録することはできない」という規則が存在しなかったため、このような命名が可能でした。

脚注

本稿では、樋屋製薬株式会社が製造する乳幼児用医薬品「樋屋奇応丸」について解説しました。

関連項目

宇津救命丸: 同じく乳幼児用の医薬品ですが、樋屋奇応丸は関西以西でポピュラーであるのに対し、宇津救命丸は関東や東日本で広く知られています。

外部リンク

樋屋製薬ホームページ
* 東京都薬剤師会・北多摩支部 おくすり博物館 ジェネリック（GE）篇（その5）

この文章は、樋屋奇応丸に関する情報を網羅的にまとめ、その歴史、特徴、販売状況、関連情報などを詳しく解説しています。

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