毛包

毛包の特徴と機能

毛包とは、哺乳類の皮膚に存在し、毛を生成するための付属器官であります。一般的に「毛嚢」とも呼ばれ、幹細胞が毛の成長に寄与しています。皮膚の表面から見える部分は「毛穴」として知られており、人の肌の1平方センチメートルあたりには20個以上も存在すると言われています。毛包は毛の生成以外にも、体から体外へ物質を放出する役割があり、具体的には皮膚呼吸として知られる水蒸気の発散や、皮脂の分泌が含まれます。

皮脂が毛穴に詰まると、角栓が形成され、毛穴の機能が低下することがあります。また、毛包の重要な役割の一つに、恒温動物が汗を通して体温を調節することが挙げられます。これは汗腺から分泌された液体が関与しています。

毛包の構造

毛包は複数の重要な構造から成り立っています。

毛乳頭

毛包の基部に位置し、結合組織と毛細血管ループから構成されています。毛乳頭には細胞分裂がほとんど見られませんが、その形状は卵型または洋なし型です。

毛母体

毛乳頭の周辺には、毛母細胞や色素を生成するメラノサイトが含まれる毛母体が存在します。毛母体の細胞分裂により、髪の繊維や内毛根鞘が形成されます。毛母細胞は人体で最も早く分裂する細胞の一つであり、抗がん治療などで影響を受けることがあります。

毛根鞘

毛根鞘は外毛根鞘と内毛根鞘の2つの部分から構成されており、髪を頭皮に固定する役割を果たします。薄膜のような見た目をしていることが特徴です。

毛線維

毛髪線維は主にケラチンから成っており、毛髪の主成分となっています。

毛隆起

毛隆起は毛包内の幹細胞が集まる部分で、創傷治癒にも寄与します。特に毛包幹細胞は新たな細胞を生成し、毛髪の再生に重要な役割を果たします。

立毛筋

立毛筋は毛包に接続し、毛髪を皮膚に対し垂直に立たせる働きがあります。これにより、体温の調整や皮脂腺の働きもサポートします。

皮脂腺

皮脂腺は皮脂を分泌し、毛穴の健康を保つための重要な成分です。

毛包の成長と周期

毛髪は成長期、退行期、休止期という3つの主要な相から成る周期で成長します。成長期では毛根が活発に分裂し、平均して28日で約1cm成長します。この期間は部位によって異なり、頭髪は2-7年間この成長期にとどまります。

退行期

成長期の終わりに訪れる退行期は、一過性の変化です。この期間は2-3週間続き、毛髪が棍毛へと変化します。この過程で毛髪は血流と新たな毛髪形成細胞から隔離されます。

休止期

休止期は、毛包が完全に機能を休止します。この期間、身体が極度のストレスにさらされることがあるため、多くの毛髪が脱落する場合があります。頭皮からは通常1日に50-100本の毛髪が落ちることが平均です。

毛包の移植

毛包は毛髪再生において、植毛手術の中心的な役割を果たします。FUT法やFUE法などの技術が利用され、ジヒドロテストステロンに影響されない毛包が移植操作で使用されます。こうした手法は、移植後に通常の毛周期を経て成長を続けます。

参考文献

• - 清水宏『あたらしい皮膚科学』（第2版）、中山書店、2011年。

毛包は見えない部分で様々な機能を担い、私たちの身体にとって非常に重要な役割を果たしています。

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