水口松尾駅

水口松尾駅：信仰と交通が交差する小さな駅

滋賀県甲賀市水口町水口にある近江鉄道本線（水口・蒲生野線）の水口松尾駅は、その歴史と立地から、他の駅とは一線を画す存在感を持ちます。1989年4月5日に開業したこの駅は、近江鉄道線の中でも異彩を放つ、ユニークな歴史を持つ駅なのです。

宗教団体の強い願いから生まれた駅

水口松尾駅の設立は、エホバの証人の関西大会ホールの建設が大きな契機となりました。同宗教団体が水口町（当時）に建設したホールへのアクセス向上を願い、駅の設置を請願したのです。宗教団体が主体となって駅の建設を請願するケースは極めて稀であり、水口松尾駅は、その点においても特異な存在と言えるでしょう。宗教法人格を取得していない宗教団体による請願であったことも、当時としては極めて異例な出来事でした。信仰と地域社会のニーズが複雑に絡み合った、興味深い歴史を持つ駅なのです。

簡素ながらも機能的な駅舎

駅舎は簡素な作りで、無人駅となっています。トイレや待合室といった設備はなく、ベンチが設置されているのみです。しかし、必要な機能は備えられており、無料の駐輪場も整備されているなど、利用者の利便性を考慮した設計となっています。駅名表示板と一体化した雨よけ付きのベンチは、この駅の象徴と言えるかもしれません。

近江鉄道線最長の駅間距離

水口松尾駅と隣の駅である日野駅の間の距離は、実に4.9キロメートルにも及びます。これは近江鉄道線内では最長距離であり、駅の立地条件の特殊性を改めて示しています。開業前は、水口駅と日野駅の間が約6キロメートルと最長区間でしたが、水口松尾駅の開業により、区間が分割され、新たな最長区間が形成されたという歴史も持っています。

駅周辺の環境

水口松尾駅は、国道307号の現道区間に位置し、駅周辺には小規模な住宅街が広がっています。また、公立甲賀病院も近接しており、医療機関へのアクセスも良好です。エホバの証人の関西大会ホールは駅北東側に位置し、駅の設立理由を改めて想起させます。日野水口グリーンバイパス（国道307号のバイパス）は駅からやや離れた位置を通っており、周辺道路網の整備状況も把握できます。周辺には、松尾団地、水口北保育園、アヤハ自動車教習所水口校などの施設もあります。国道1号（水口道路）も比較的近くを通っており、交通アクセスは比較的良好です。

利用状況

近年の一日平均乗車人員については、甲賀市統計書などを参照して確認する必要があります。利用状況は、近隣の住民や、エホバの証人の関西大会への参加者など、様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられます。

まとめ

水口松尾駅は、宗教団体の請願によって設立された、近江鉄道線の中でも特異な駅です。その簡素ながらも機能的な駅舎、近江鉄道線最長の駅間距離、そして周辺の環境は、この駅の個性と歴史を物語っています。水口松尾駅を訪れる際には、その歴史的背景と周辺環境に思いを馳せてみてください。小さな駅ですが、そこに込められた人々の思いを感じることができるでしょう。

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