水垢

水垢とは

水垢とは、主にやかんやボイラー、温水式セントラルヒーティング装置の内側などにみられる、硬くて灰色がかった堆積物のことです。粉を吹いたような見た目をしています。水に溶け込んでいる天然のミネラルなどが、時間をかけて蓄積して形成されます。

水垢の成分と種類

水を加熱する装置に付着する水垢の主な成分は、水中に溶けていたカルシウムが沈殿した石灰（炭酸カルシウム）です。硬水にはカルシウムやマグネシウムの炭酸水素塩などが多く含まれており、これらの成分が水垢の元となります。電気ケトルなどに堆積するものは、特にライムスケールと呼ばれます。

水垢は、その生成過程や環境によって、成分がわずかに異なります。

加熱装置に付着する水垢: 主成分は炭酸カルシウム（石灰）。
浴槽や流し台に付着する水垢: カルシウムと石鹸の化合物（金属石鹸）。
蛇口や浴室のタイルに付着する水垢: 炭酸カルシウムと、蒸発前の水に含まれていたその他の塩の混合物。

水垢の生成メカニズム

水垢の主成分である炭酸カルシウムは、炭酸水素カルシウムが変化したものです。炭酸水素カルシウムは水に溶けやすい性質を持ちますが、70℃を超えると水に溶けにくい炭酸カルシウムに変化します。そのため、水が熱せられる場所に炭酸カルシウムが析出し、水垢として蓄積していきます。

特に、局所的に沸騰が集中するホットスポットでは、炭酸カルシウムが集中して析出しやすくなります。

水垢の除去方法

水垢の主成分は石灰であるため、酸性の物質に溶ける性質があります。そのため、水垢の除去には、水に溶かしたクエン酸が効果的です。クエン酸を溶かした水に水垢が付着したものを浸け置きしたり、クエン酸水を沸騰させたりすることで、水垢を растворять ことができます。

水垢と安全性

水垢の主成分は石灰であるため、基本的には不衛生なものではありません。しかし、2020年には、やかんに堆積していた水垢に含まれる銅が、酸性のスポーツドリンクに溶け出し、摂取した高齢者が下痢などを訴える事例が発生しています。水道水に含まれる銅は微量であり、通常では考えにくいケースですが、注意が必要です。

水垢対策

水垢の付着を防ぐためには、以下の対策が有効です。

軟水器の利用: 硬水を軟水に変えることで、水垢の発生を抑制できます。
こまめな清掃: 水垢が付着する前に、こまめに清掃することで、蓄積を防ぐことができます。
使用後の水切り: 蛇口や浴室のタイルなど、水滴が残りやすい場所は、使用後に水気を拭き取ることで、水垢の発生を抑えることができます。

その他の関連情報

硬水: カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを多く含む水。
石灰岩: 炭酸カルシウムを主成分とする堆積岩。
石灰石: 石灰岩のうち、工業原料として利用されるもの。
尿石: 便器などに付着する、尿中の成分が固まったもの。
* 消雪パイプ: 冬季に道路に散水し、雪を溶かすための設備。

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