沢崎誠

沢崎誠：麻雀界の異才、その軌跡と魅力

沢崎誠氏は、1955年生まれの日本プロ麻雀連盟所属のプロ雀士です。群馬県安中市出身で、東京理科大学中退という経歴を持ちます。麻雀界においては九段という高い段位を誇り、その卓越した技量と人間性で多くのファンを魅了してきました。

波瀾万丈のキャリア

農家の次男として生まれた沢崎氏は、幼少期に病気を患いながらも、高校卒業後上京。東京理科大学夜間部に入学する傍ら、配送業で生計を立てていました。そんな中、麻雀と出会い、その魅力に憑りつかれた彼は、わずか数ヶ月で大学を中退。麻雀にのめり込む日々を送ることになります。26歳で離婚を経験した後、友人の紹介で雀荘に勤務を始め、そこで開催されていたプロアマ大会で頭角を現し、29歳でプロ雀士への転身を遂げました。

プロ入り後は、数々のタイトルを獲得。1996年の十段位優勝を皮切りに、2013年の最強戦優勝、2017年と2019年の麻雀日本シリーズ優勝、2018年のマスターズ優勝など輝かしい実績を残しました。特に2020年の第14回モンド名人戦では、予選を3位で通過し、決勝では劇的な逆転劇を演じ、悲願の初優勝を果たしました。また、2020年には第16回モンド王座戦も制覇しています。2021年には鳳凰戦決勝卓に進出するなど、第一線で活躍し続けました。

「マムシの沢崎」の異名と雀風

勝負どころでは静かに、そして鋭くアガリを決めることから「マムシの沢崎」の異名を持つ沢崎氏。その雀風はオーソドックスなスタイルを基盤としながらも、状況に応じて柔軟に変化します。打牌は比較的静かで、牌を卓上に置く独特のスタイルが特徴です。しかし、勝負手になると打牌の強さが増し、解説者の荒正義氏は「勝負をかける時ほどそっと牌を切り出す」と評しています。小島武夫氏を師と仰ぎ、その影響も色濃く反映されています。

Mリーグでの活躍と引退

2019年、Mリーグの新設チームKADOKAWAサクラナイツに加入。2021年レギュラーシーズンでは、個人成績2位という素晴らしい成績を残しました。同期の瑞原明奈選手との個人MVP争いも記憶に新しいです。最終戦での、瑞原選手への祝福のジェスチャーは多くの視聴者に感動を与えました。しかし、2022年、原発性骨髄線維症の診断を受け、療養のためシーズン途中でチームを離脱。その後、契約満了となりました。

人間性と影響力

沢崎氏は麻雀プロとしての実力だけでなく、その人柄も広く知られています。藤崎智氏や清水香織氏など、多くの弟子を育成し、その実力と人徳は後進の雀士たちからも慕われています。趣味は油絵で、日課としてウォーキングや自炊を行うなど、健康管理にも気を配っています。

著書と出演

2020年には『沢崎誠の強すぎる麻雀経験論』を出版。自身の麻雀人生や経験を惜しみなく披露しています。また、映画『雀鬼くずれ』では闘牌指導を務めるなど、麻雀界への貢献は多岐に渡ります。

沢崎誠氏の麻雀人生は、まさに波乱万丈、そして輝かしいものだったと言えるでしょう。数々のタイトル獲得、Mリーグでの活躍、そして後進の育成。彼の功績は、麻雀界の歴史に長く刻まれることでしょう。彼の静かながらも、力強い打牌は、これからも多くの麻雀ファンを魅了し続けることでしょう。

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