油山

油山：歴史と自然が織りなす場所

油山は、福岡市城南区、早良区、南区にまたがる標高597mの山です。福岡市の中心部からほど近い場所に位置し、豊かな自然と歴史に彩られた場所として、多くの人々に親しまれています。

油山の名の由来

油山の名前は、奈良時代の天平年間に、インドから来た清賀上人が油山観音正覚寺において、日本で初めて椿の実から椿油を精製したことに由来すると伝えられています。この椿油は、灯明油として使われ、人々の生活を照らしました。

古代からの歴史

油山の東麓にある柏原遺跡群からは、弥生時代の石斧が出土しており、古代から人々がこの地で活動していたことが伺えます。当時、近くに集落はなかったと考えられており、低地から来た人々が木を伐採するために訪れていたと推定されています。

油山事件の悲劇

太平洋戦争末期の1945年8月10日、油山では悲しい事件が起こりました。現在の福岡市営火葬場近くの雑木林で、旧日本軍によって米軍捕虜のB-29搭乗員8名が殺害されたのです（油山事件）。

この事件は、西部軍司令部構内や油山で起こった他の捕虜殺害事件と合わせて「西部軍事件」と総称されます。特に油山事件は、その残虐な内容から広く知られることとなりました。事件では、上官が捕虜を斬首させたり、弓矢で射殺させたり、空手で処刑しようとしたりするなどの行為が行われました。これらの事実は、戦後の戦犯裁判で明らかになり、関係者はBC級戦犯として処罰されました。

阿部源蔵（第24代福岡市長）は、この事件の犠牲者を慰霊するため慰霊碑を建立しました。油山は、美しい自然とともに、戦争の悲劇を伝える場所でもあります。

アクセスと周辺施設

油山は、天神の繁華街から車で約15分とアクセスも便利です。周辺には、観光施設「ABURAYAMA FUKUOKA」や、油山観音正覚寺などの見どころがあります。油山観光道路を通れば、気軽にドライブやハイキングを楽しむことができます。

周辺施設

ABURAYAMA FUKUOKA：自然体験やアクティビティを楽しめる施設
正覚寺：油山寺とも呼ばれ、椿油発祥の地として知られる寺院

まとめ

油山は、美しい自然、古代からの歴史、そして戦争の記憶が重なり合う場所です。福岡市を訪れた際には、ぜひ油山を訪れ、その豊かな自然と歴史に触れてみてください。

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