深澤直人

深澤直人（ふかさわ なおと）は、1956年生まれの日本のプロダクトデザイナーです。そのデザイン哲学は、人々の潜在的な欲求や感情を捉え、それを具体的な形にすることにあります。彼のデザインは、静かで力強く、そして日常に溶け込むような自然さが特徴です。電子機器から家具、インテリアまで幅広い領域でデザインを手がけ、その影響は日本国内だけでなく、国際的にも認められています。

生い立ちとキャリア

山梨県出身の深澤直人は、多摩美術大学でプロダクトデザインを学びました。卒業後、諏訪精工舎（現セイコーエプソン）に入社し、その後アメリカのデザインコンサルティング会社ID TWO（現IDEO）に転職。IDEOでは、日本支社の設立に尽力し、支社長を務めました。2003年に独立し、自身のデザイン事務所「Naoto Fukasawa Design」を設立。この事務所を拠点に、多くの国際的な企業と協業し、数々の名作を生み出してきました。

デザインの特徴

深澤直人のデザインは、単に美しい形を追求するだけでなく、使う人の心理や行動を深く理解した上で、最適な機能と形状を導き出すことに重点を置いています。彼のデザインには、無駄を省いたシンプルな美しさがあり、それは「用の美」に通じるものがあります。代表的な作品には、auの携帯電話「INFOBAR」シリーズや、±0ブランドの家電製品、無印良品の「壁掛け式CDプレイヤー」などがあります。これらの製品は、いずれも時代を超えて愛され続けています。

教育・文化活動

深澤直人は、デザイン教育にも熱心に取り組み、武蔵野美術大学や多摩美術大学で教鞭を執ってきました。2024年には多摩美術大学の副学長に就任し、後進の育成にも力を入れています。また、2012年からは日本民藝館の館長を務め、日本の伝統的な美意識を現代に伝える活動にも積極的に関わっています。さらに、デザインの科学的な研究を推進するための「一般財団法人THE DESIGN SCIENCE FOUNDATION」を2022年に設立するなど、多方面で活躍しています。

主な作品

au携帯電話「INFOBAR」シリーズ: 革新的なデザインで携帯電話の概念を変えた代表作。
±0ブランド: シンプルで機能的な家電製品や生活雑貨。
無印良品「壁掛け式CDプレイヤー」: その普遍的なデザインは、今もなお高い人気を誇ります。
松下電工（現パナソニック電工）「アラウーノ」便器: 生活に溶け込むシンプルなデザイン。
イッセイミヤケ「TWELVE」腕時計: ミニマルなデザインが特徴。
マルニ木工「HIROSHIMAアームチェア」: 普遍的なデザインと高い品質が評価されています。

受賞歴

深澤直人は、数々の国際的なデザイン賞を受賞しており、その功績は世界的に認められています。代表的な受賞歴として、IDEA賞金賞（アメリカ）、iF Design賞金賞（ドイツ）、DDC賞（ドイツ）、red dot design賞（ドイツ）、D&AD賞金賞（イギリス）、毎日デザイン賞、織部賞、グッドデザイン賞（金賞）、イサム・ノグチ賞、DNA PARIS DESIGN AWARDSなどが挙げられます。

深澤直人は、デザインを通じて人々の生活を豊かにすることを目指し、その活動は多岐にわたります。彼のデザインは、美しさだけでなく、使いやすさや機能性も兼ね備え、使う人の心に響くものばかりです。これからも、彼のデザインが世界中の人々の生活に新たな彩りを加えることでしょう。

もう一度検索