清風荘

清風荘：西園寺公望の邸宅と小川治兵衛の庭園

清風荘は、京都市左京区田中に位置する、国立大学法人京都大学が所有する歴史的な建造物と日本庭園です。元々は西園寺公望の別邸として造営され、庭園は近代日本庭園の先駆者である小川治兵衛によって設計されました。建物は数寄屋造りを基調とし、主屋、茶室などの付属建物があります。その文化的価値の高さから、1944年に京都帝国大学（現京都大学）に寄贈され、2012年には主屋を含む12棟の建造物が重要文化財に指定されました。

歴史

清風荘の地には、江戸時代には徳大寺家の下屋敷「清風館」がありました。明治時代に入り、1907年（明治40年）に住友家15代当主の住友友純（15代吉左衛門）がこの地を取得し、実兄である西園寺公望の別邸として整備されることになりました。主屋の建築は1910年（明治43年）に始まり、1912年（大正元年）に竣工。1914年（大正3年）には「離れ」が建てられました。これらの建物の設計は、二代八木甚兵衛が担当しました。

構成

敷地は東側が狭く、西側が広がる台形をしています。正門は敷地の西辺北寄りに設けられ、主要な建物は敷地の北西側に配置されています。正門を入ると、東側に主屋、その東に「離れ」が位置し、これらの北側には土蔵、納屋、詰所、附属屋が東から西へと並んでいます。主屋の南側には庭園が広がり、茶室、供待、第一中門、第二中門、袴付、待合などが点在しています。中でも茶室と供待は、徳大寺家の「清風館」時代からの建物として、江戸時代の面影を残しています。

建築と庭園の特徴

主屋は、近代和風住宅建築の代表作の一つとして評価されています。南側の今出川通りの拡幅により敷地の一部が削られましたが、付属建物や庭園を含めた屋敷全体の構成は良好に保存されており、貴重な文化遺産としての価値を保っています。庭園は、小川治兵衛ならではの自然と調和した設計が特徴で、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。

文化財指定

名勝（国指定）：清風荘庭園
重要文化財（国指定）：清風荘建造物12棟
主屋
離れ
正門
土蔵
納屋
詰所
附属屋
茶室
供待
第一中門
第二中門
袴付及び待合

アクセス

所在地：京都府京都市左京区田中関田町
京都市バス：「百万遍」バス停下車
京阪鴨東線：「出町柳駅」下車

公開情報

清風荘は、かつて抽選制による一般公開が行われていましたが、現在は学内行事での使用に限られています。ただし、毎年10月頃に開催される京都大学の「ホームカミングデイ」において、卒業生を対象とした抽選制の特別公開が行われています。

参考文献

京都大学「名勝清風荘庭園保存修理事業報告書」2014年
尼崎博正「七代目小川治兵衛 : 山紫水明の都にかへさねば」ミネルヴァ書房、2012年
「新指定の文化財」『月刊文化財』586号、第一法規、2012

清風荘は、日本の建築と庭園の粋を集めた、貴重な文化遺産です。その美しい景観と歴史的価値は、訪れる人々を魅了し続けています。

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