住友友純

住友友純：住友家15代当主の生涯

住友友純(すみともともいと)は、元治元年'>[1865年]1月18日、旧華族徳大寺家の出身として生まれました。父は従一位右大臣徳大寺公純、母は末弘氏で、幼名は隆麿(たかまろ)でした。東山天皇の6世子孫にあたる名家出身であり、兄には公卿として活躍した人物もいました。

幼少期は父の薫陶を受け、古典や儒教の書物を学びました。華族の子弟として、恵まれた環境の中で育った友純ですが、明治維新という激動の時代を経験し、その影響を生涯にわたって受けることとなります。

1883年、父公純の死去後、友純は東京に移り住み、学習院で学問を深めました。兄である西園寺公望は、外交官として活躍しており、兄弟間には良好な関係が保たれていました。学習院卒業後、住友家との縁談が持ち上がります。

住友家への入家と当主就任

1890年代初頭、住友家は当主の相次ぐ早世により、後継者問題に直面していました。住友家再建に尽力した広瀬宰平は、徳大寺家の友純に白羽の矢を立て、養子縁組を持ちかけます。当時の宮内省関係者の尽力もあり、1892年、友純は住友家の養子となり、住友家の婿養子となりました。翌1893年には15代住友吉左衛門を襲名し、以後、住友家の発展に貢献することとなります。

住友吉左衛門友純として、友純は別子銅山をはじめとする事業を経営し、近代的な経営手法を導入しました。神戸における銅貿易、製茶業、樟脳製造業、生糸業など、多角的な事業展開を行い、住友家の事業規模を拡大していきました。

しかし、友純の当主就任後も、住友家内部では様々な問題が発生します。別子銅山における労働争議や経営陣の不正など、困難な状況を乗り越える必要がありました。友純は、冷静な判断力と、兄である西園寺公望などの協力も得ながら、これらの問題に一つずつ対処していきました。

住友銀行の設立と社会貢献

友純は1895年、住友銀行の設立に尽力しました。これは、住友家の財政基盤を強化するだけでなく、地域経済の発展にも大きく貢献する事業でした。友純は銀行経営にも積極的に関与し、大阪における実業界での地位向上に貢献しました。また、京都法政学校（後の立命館大学）や大阪府立図書館への寄付など、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。

欧米視察と文化への造詣

1897年、友純は欧米を視察旅行しました。この旅行は、友純の経営手腕のみならず、文化や芸術への深い理解を深める上で重要な経験となりました。欧米の美術館や博物館を巡り、先進国の社会システムや文化に触れた友純は、帰国後、住友家の近代化を進める傍ら、自身の邸宅や庭園の設計にもその経験を活かすこととなります。

友純は、洋画にも造詣が深く、黒田清輝ら多くの洋画家を支援し、芸術活動の振興にも貢献しました。また、中国古銅器のコレクションでも知られており、泉屋博古館のコレクションは、その多くを友純が収集したものです。

貴族院議員としての活動と晩年

1897年には、貴族院議員に互選されました。この経験は、友純の政治への関与を深め、住友家の社会的地位向上にも貢献しました。

晩年は、住友家の事業拡大を続けながら、様々な社会貢献活動にも取り組んでいました。東北大学鉄鋼研究所や理化学研究所への寄付、住友病院の設立など、その活動は多岐にわたります。1926年、63歳で死去しました。

系譜

友純は東山天皇の男系7世子孫という由緒ある家系に生まれ、華族として、また住友家当主として、時代を駆け抜けた人物でした。その生涯は、住友家の発展のみならず、日本の近代化に大きく貢献したものと言えます。彼の功績は、現在でも高く評価されており、その名は日本の近代史に深く刻まれています。

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