無償トレード

無償トレードの概念

無償トレードとは、選手がチーム間で移籍する際に、移籍金や他選手との交換が発生しない場合を指します。この概念は主に団体プロスポーツのシステムに根ざしており、特に日本プロ野球（NPB）やアメリカのNFLなどで見られる現象です。

日本プロ野球における無償トレード

日本プロ野球では、無償トレードは主に以下の二つのケースで行われます。一つは戦力外通告を受けた選手が、球団に属したままトレードの形で他の球団に移籍する場合です。特に、選手がキャリアの終わりを迎えた際に、この形での移籍が見られます。例えば、2003年オフには福岡ダイエーホークスの中心選手、小久保裕紀が読売ジャイアンツへ無償で移籍したことが話題になりました。

無償トレードは、ただ無償であるだけでなく、実際には通常のトレードと同じく選手の移籍を伴います。2004年度の球界再編問題において、2005年度から新たに設立された東北楽天ゴールデンイーグルスへの選手譲渡が無償トレードとして成立したことも、他の例として挙げられます。このように、従来の球団間での選手の流動性を高めるための一手段とされています。

合同トライアウトと無償トレード

2004年の球界再編問題を受けて、日本プロ野球選手会は全12球団に対して自由契約選手の獲得に関する新たな方針を求めました。これにより、毎年10月1日以降に自由契約となった選手に対し、トライアウト開催前に独自のテストを行わない旨が申し入れられました。これによって、自由契約選手の獲得は一般に制限されることとなりましたが、戦力外通告を受けた選手に対しては別のルールが適用され、無償トレードによる獲得が可能となります。

NFLにおける無償トレード

アメリカのNFLにおいては、金銭トレードが許可されていないため、無償トレードが行われるケースが多くなります。選手の移動はこの方式で頻繁に行われており、例えばエンジェル・ルビオやサーマン・トーマスの無償トレードはその一例です。このことにより、NFL内での選手の流動性が確保されています。

無償トレードとその実態

無償トレードはあくまで選手が無償で移籍することを意味しているため、前所づけの球団によって移籍選手へ引越し費用が負担される場合もあります。これは無償トレードにおける重要な背景の一つです。さらに、時折、無償とは言えない形でのトレードが行われることもあり、表面的には金銭トレードとされても、実際には無償トレードと見なされることもあります。このように、無償トレードは、単なる選手移籍の一手段として、プロスポーツ界において重要な役割を担っています。

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