燕山荘

燕山荘は、長野県安曇野市、標高2,712mの燕岳山頂稜線に位置する山小屋です。中部山岳国立公園内にあり、北アルプスの中でも特に歴史が深く、多くの登山者に親しまれています。

概要
現在の燕山荘は、株式会社燕山荘によって運営されており、三代目のオーナーである赤沼健至氏が経営にあたっています。支配人は井村克彦氏が務めています。オーナーの赤沼氏は、アルプホルンの演奏で宿泊者を楽しませたり、表銀座などの登山教室を開催するなど、山小屋の運営だけでなく、登山者との交流も大切にしています。山荘の前からは、白い花崗岩と緑のハイマツが織りなす美しい燕岳の姿を望むことができ、南側には槍ヶ岳を中心とした北アルプスの山々、眼下には安曇野の絶景が広がります。山荘の周辺には、高山植物の女王と呼ばれるコマクサが群生し、ハイマツ帯にはライチョウが生息しています。

株式会社燕山荘は、燕山荘の他に、安曇野市有明荘、合戦小屋、大天荘、ヒュッテ大槍といった山小屋も運営しています。

沿革
燕山荘の歴史は、1921年（大正10年）に登山家の赤沼千尋氏が「燕の小屋」として開業したことから始まります。当初は収容人数50人ほどの小さな小屋でしたが、1922年には猟師の小林喜作氏が殺生小屋を開業し、そこから槍ヶ岳へと続く最短ルートである喜作新道が開かれたことで、多くの登山者が訪れるようになりました。

1928年（昭和3年）には、現在の「燕山荘」に改称されました。1937年（昭和12年）には、大倉喜八郎氏の資金援助によって本館が完成し、帝国ホテルが運営に加わりました。この時、現在の2階建ての建物が建てられ、収容人数は200人に増加、ガス灯も設置されました。第二次世界大戦中は登山者が激減しましたが、山小屋は営業を続けました。1945年（昭和20年）に帝国ホテルが経営から撤退し、再び赤沼氏による単独経営となりました。その後、1956年に第一別館、1958年に第二別館が完成し、プロパンガスの導入や公衆電話の設置など、施設の拡充が進められました。

1964年（昭和39年）には、荷揚げ用のケーブルが設置され、1973年（昭和48年）には新館が完成し、現在の形へと発展しました。

現在の燕山荘
営業期間は、例年4月下旬から11月下旬、そして12月下旬から1月上旬までとなっています。収容人数は宿泊が600人、キャンプ指定地にはテント30張を設営できます。施設としては、一般客室、個室、フロント、売店、喫茶室、食堂などがあります。入浴施設はありません。また、夏期には順天堂大学医学部による燕岳夏山診療所が開設されます。山荘では、雷鳥観察会やクラシックコンサート、登山教室など、さまざまなイベントが開催されています。

周辺の山
燕山荘は、飛騨山脈（北アルプス）の常念山脈の主稜線上に位置しており、周辺には燕岳、大天井岳、常念岳などの山々が連なっています。

表銀座のルート上にあるため、燕山荘を拠点として槍ヶ岳を目指す登山者も多くいます。

また、裏銀座のルートも近く、縦走を楽しむ登山者にも人気があります。

その他
燕山荘の運営会社である株式会社燕山荘の松本事務所は、長野県松本市にあります。

関連書籍や雑誌も多く出版されており、山岳ガイドや紀行文などにその名を見ることができます。

燕山荘は、北アルプスの登山において、重要な役割を担っている山小屋の一つです。

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