牧れい

牧 れい（まき れい）氏は、1949年6月21日生まれの日本の女優、歌手です。キャリアを通じて、本名の宮内恵子から牧麗子、さらに牧れい子を経て現在の牧れいへと芸名を変遷させています。

長野県飯田市松尾町で生まれ、2歳の時に愛知県名古屋市へ移り育ちました。精華学園女子高校（現在の東海大学付属市原望洋高等学校）在学中、東宝俳優養成所の門を叩き、オール東宝ニュータレントの6期生となります。そのまま東宝の専属女優となり、本名の宮内恵子として芸能界での活動を開始。当時の東宝を代表する青春女優の一人として、数々の作品に出演しました。

東宝を退社した後、1969年に牧麗子と改名し、歌手としての新たな一歩を踏み出します。デビュー曲『夕焼けは知らない』はスキャット・ポップスとして発表され、大人のムードを湛えた歌声が注目を集めました。その独特な魅力は、「エキゾチックでありながら古典的な趣も持ち合わせ、ボーイッシュでありつつも爽やかな色気を漂わせる」と評されています。その後も本格的な歌手活動を展開しました。

歌手活動と並行して、1980年代後半まで精力的にテレビドラマに出演しました。特技であるジャズダンスは、彼女のアクション演技に大いに活かされています。特に『スーパーロボット レッドバロン』や『ザ・スーパーガール』といった作品では、迫力ある激しいアクションシーンを演じました。『レッドバロン』では、ミニスカートで戦う姿が人気を博し、当時の擬斗担当者は、男性スタッフや共演者の前でも気兼ねなく着替える彼女を「少年」のようだったと回想し、殺陣指導にも遠慮はなかったと語っています。アクションへの自信から演技がエスカレートした時期もありましたが、度重なる捻挫によって足首が固まる後遺症が残り、後年も柔軟性維持のためにジム通いを欠かさなかったといいます。また、『レッドバロン』で共演した潮哲也氏とは、演技について熱く議論を交わすことも多かったそうで、互いの真剣さゆえのぶつかり合いだったと述懐しています。

特撮作品との関わりも深く、『ウルトラセブン』では当初、第9話のアンドロイド少女ゼロワン役としてキャスティングされていたことがありました。また、円谷プロの撮影現場を見学した際に『トリプルファイター』へのレギュラー出演を打診されたものの実現せず、その後の『緊急指令10-4・10-10』での入江ナミ隊員役へと繋がっています。この他にも、『水戸黄門』、『Gメン'75』、『大江戸捜査網』など、時代劇から現代劇まで多岐にわたるテレビドラマに出演しています。映画では『怪獣総進撃』でキラアク星人を演じたほか、『でっかい太陽』『燃えろ!太陽』など東宝作品を中心に出演しました。

歌手としては、牧麗子名義で「かりそめの恋」「男好き」などを、牧れい名義で「悲しい女の子」「帰りたくないの」といったシングルを発表しています。

近年は、宅地建物取引士や簿記2級といった資格を取得するなど、新たな分野にも挑戦しています。2022年11月には自身のブログで、同月13日に脳梗塞で救急搬送され、現在右半身麻痺のリハビリに取り組んでいることを公表しました。

青春女優としてスタートし、歌手としても評価を得て、アクションもこなすなど、女優・歌手として多面的な才能を発揮したキャリアを送っています。

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