牧阿佐美

牧阿佐美の生涯と業績

牧 阿佐美（まき あさみ、1934年5月12日 - 2021年10月20日）は、日本のバレリーナ、振付家として広く知られています。本名は福田 阿佐美（ふくだ あさみ）で、橘 秋帆（たちばな あきほ）という名義も用いていました。彼女は日本バレエ界に多大な影響を与え、さまざまな役職を務めながら、後進の育成にも力を注ぎました。特に、牧阿佐美バレヱ団の設立や新国立劇場舞踊芸術監督としての活動が知られています。

生い立ちと教育

東京府東京市（現在の東京都杉並区阿佐谷）に生まれた牧は、バレエダンサーである父・牧幹夫と、バレリーナの母・橘秋子のもとで育ちました。彼女は幼少期、母が経営するバレエ学校で4歳から本格的にレッスンを受けることとなり、早くからその才能を開花させました。家庭環境の影響を受けながら、彼女のバレエに対する情熱は次第に高まり、後にアメリカに留学することになります。

バレリーナとしての成長

1954年、牧はアメリカに渡り、著名なバレエダンサーであるアレクサンドラ・ダニロワやイゴール・シュヴェッツォフに師事しました。この留学は彼女の技術を大きく向上させる要因となりました。また、1956年には母と共に牧阿佐美バレヱ団を結成し、独自のバレエスタイルを確立。彼女は1971年に現役を引退するまで、様々な舞台でその技を披露し続けました。

振付家としての活動

引退後、牧は橘バレヱ学校の校長として後進の指導に力を注ぎました。さらに、1999年から20010年まで新国立劇場舞踊芸術監督を務め、数々の新作を発表しました。振付師として、古典的なバレエの新たな解釈を試み、『牧阿佐美の椿姫』や『ア・ビアント』などの作品を発表し、バレエ界に新しい風を吹き込みました。

人生の終幕と文化勲章

牧阿佐美は2021年10月20日、東京都内の自宅で大腸がんにより亡くなりました。享年87。彼女の死後、日本政府は彼女の業績を評価し、文化勲章を授与すると発表しました。叙勲内定の通知は彼女の死去の前日であり、彼女の存在が日本のバレエ文化にいかに深く刻まれているかを改めて感じさせるものでした。

家族・受賞歴

彼女の家族は、父の牧幹夫と母の橘秋子も優れたバレエダンサーでした。また、夫の三谷恭三もバレエダンサーとして活動しています。牧は自身のキャリアを通じて数多くの受賞歴を持ち、生活の中で培った芸術的な視点を次世代へと受け継いでいく役割を果たしました。1984年にはニムラ舞踊賞、1987年には芸術選奨文部大臣賞などを受賞。1996年には紫綬褒章、2004年にはフランス共和国芸術文化勲章シュヴァリエ、そして2008年には文化功労者として表彰されました。

講演と著作

牧は自伝として『バレエに育てられて 牧阿佐美自伝』を執筆し、その中で彼女の経験や思いを伝えています。さらに、テレビ番組にも出演し、バレエの魅力を広める活動を続けていました。彼女の足跡は今も日本のバレエ界に色濃く残っており、後世にわたって語り継がれることでしょう。

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