阿佐谷

阿佐ヶ谷：歴史と文化が息づく住宅都市

地理と概要

東京都杉並区に位置する阿佐ヶ谷は、阿佐ヶ谷駅を中心とした地域です。正式には阿佐谷北と阿佐谷南に分かれ、江戸時代の阿佐ヶ谷村の範囲とほぼ重なります。南北に伸びるケヤキ並木が美しい中杉通りが街のシンボルとして親しまれています。北側は日大二高通りと早稲田通り、南側は青梅街道にそれぞれ接し、地域の中心部には阿佐ヶ谷駅、南側には南阿佐ヶ谷駅があります。

関東大震災以降、山の手の郊外住宅地として発展し、現在では駅周辺を除き住宅地が密集しています。河北総合病院をはじめ、世尊院、阿佐ヶ谷神明宮などの歴史的建造物や、多くの書店・古書店が点在するなど、落ち着いた雰囲気も持ち合わせています。

文化とイベント

阿佐ヶ谷は、独特の文化が花開く街としても知られています。

阿佐ヶ谷七夕まつり

毎年8月には、南口の大型商店街「阿佐谷パールセンター」で阿佐ヶ谷七夕まつりが盛大に開催されます。北口の商店街「阿佐谷商和会」など、多くの商店街でも同時開催されるため、多くの来場者で賑わいます。

阿佐ヶ谷ジャズストリート

阿佐ヶ谷にはジャズ喫茶やライブハウスが多く、10月には「阿佐ヶ谷ジャズストリート」が開催されます。ジャズミュージシャンたちが街中で演奏を行い、独特の音楽が街全体を包み込みます。

歴史

伝統的には「阿佐ヶ谷」と表記されてきた地名ですが、1965年の住居表示実施に伴い「阿佐谷」に統一されました。地名の由来は、桃園川の浅い谷であったことにちなむとされています。中世には阿佐ヶ谷氏一族が支配する阿佐ヶ谷村として栄え、1889年には甲武鉄道、1922年には阿佐ヶ谷駅が開設されました。1921年には西武軌道によって新宿から荻窪までの青梅街道上に路面電車が開通、阿佐ヶ谷にも停留所が設置されましたが、1963年に廃止されています。

阿佐ヶ谷文士村

1922年の阿佐ヶ谷駅開業を機に住宅地として発展を始めた阿佐ヶ谷は、関東大震災後の移住者増加によって、多くの文人たちが集まる街となりました。1927年には井伏鱒二が荻窪に住まい、阿佐ヶ谷にもよく訪れるようになり、これをきっかけに、与謝野晶子、太宰治、三好達治など多くの文人たちが阿佐ヶ谷に住まい、阿佐ヶ谷文士村が形成されました。井伏鱒二らが中心となって開かれた「阿佐ヶ谷会」は、文人たちの交流の場として知られ、1970年代まで続きました。高山英華も幼少期から亡くなるまで阿佐ヶ谷で暮らしていました。

大相撲と阿佐ヶ谷

1945年の東京大空襲後、二所ノ関部屋が阿佐ヶ谷の真盛寺に間借りしたことがきっかけで、1952年には芝田山部屋（後の花籠部屋）が阿佐ヶ谷に創設されました。初代若乃花が1956年5月場所に阿佐ヶ谷から初優勝を果たすと、阿佐ヶ谷は相撲界の注目を集めるようになりました。「阿佐ヶ谷トリオ」と呼ばれる輪島、初代貴ノ花、魁傑らの活躍により、阿佐ヶ谷は「東の両国、西の阿佐ヶ谷」と言われるほどの大相撲の拠点となりました。しかし、部屋の移転や閉鎖により、2013年には阿佐ヶ谷から相撲部屋は消滅しました。

治安対策

2012年には、阿佐ヶ谷の一部地域が東京都迷惑防止条例に基づき、客引きやスカウト行為などを禁止する区域に指定されました。2019年にはさらに暴力団排除特別強化地域にも指定され、暴力団排除に向けた対策が強化されています。

施設と行事

阿佐ヶ谷には、阿佐ヶ谷神明宮、阿佐ヶ谷図書館、阿佐ヶ谷パールセンターなどの施設に加え、杉並区役所、杉並消防署なども所在しています。また、阿佐ヶ谷七夕まつり、神明宮例大祭、阿佐ヶ谷ジャズストリートなどのイベントが開催され、地域を盛り上げています。

交通

阿佐ヶ谷駅（JR中央線）、南阿佐ヶ谷駅（東京メトロ丸ノ内線）が利用可能です。中杉通り、松山通り、青梅街道、早稲田通り、日大通りなどの主要道路が通っています。西武バス、関東バス、京王バス、都営バスなどの路線バスも利用できます。

阿佐ヶ谷を舞台にした作品

阿佐ヶ谷は、多くのテレビドラマ、映画、漫画、アニメ、小説、楽曲、PVなどの作品にも登場しており、様々な形でその魅力が表現されています。

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