犬飼駅

犬飼駅：豊肥本線沿線の歴史と文化を紡ぐ駅

大分県豊後大野市犬飼町下津尾に位置するJR九州豊肥本線の犬飼駅は、1917年（大正6年）7月20日の開業以来、地域住民の足として、長い歴史を刻んできました。当初は犬飼軽便線の終着駅として開業、その後路線延伸や改称を経て、豊肥本線の一駅となりました。

1955年（昭和30年）には急行「火の山」の停車駅となり、地域の交通の要衝として発展を遂げます。しかし、時代の流れとともに、1978年（昭和53年）に貨物取扱いを廃止、1984年（昭和59年）には荷物扱いも廃止となり、2014年（平成26年）7月1日には無人駅となりました。駅舎は老朽化に伴い、2005年（平成17年）に木造平屋建てに改築されました。

近年では、漫画『デトロイト・メタル・シティ』の作者と主人公の出身地という設定で登場し、2008年の映画化に際してはロケ地としても使用され、全国的に知られる存在となりました。

犬飼駅の構造は、島式ホーム1面2線を有する地上駅です。駅舎は東側にあり、ホームとは跨線橋で連絡しています。かつてはJR九州鉄道営業による業務委託駅でしたが、無人化後も自動券売機が設置されており、利用者の利便性を考慮した設計となっています。

2020年度の1日平均乗車人員は256人と、地域住民の利用率は高く、生活に密着した駅であることがわかります。

駅周辺は、大野川が駅舎の東側を線路に沿って流れ、国道10号も並行して走っています。南へ700mほど行くと、旧犬飼町の中心地があり、豊後大野市犬飼支所、浄流寺、犬飼郵便局、大分銀行犬飼支店、豊後大野市立犬飼小学校、豊後大野市立犬飼中学校など、公共施設や教育機関、金融機関が集中しています。大野川をはさんで対岸への移動には、少し遠回りが必要となります。

交通アクセスとしては、大野竹田バスの犬飼駅バス停があり、三重 - 百枝入口 - 高添・犬飼線、三重 - 菅尾駅前 - 犬飼線、犬飼 - 山内 - 河面線など複数の路線が運行されています。

隣の駅は、竹中駅と菅尾駅です。犬飼駅は、歴史と文化、そして漫画という異色の組み合わせが織りなす、豊肥本線沿線における重要な拠点となっています。これからも地域住民の生活を支え、多くの人の記憶に残る駅であり続けることでしょう。

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