猿楽庁

猿楽庁（SARUGAKUCHO）

猿楽庁は、株式会社HIKEの事業部門であり、コンピュータゲームのデバッグやゲームバランスの調整を中心とした活動を行っています。この企業名の由来は、著名なクリエイター糸井重里による「猿楽町」をもじったものです。

沿革と背景

猿楽庁は1997年11月にマリーガル・マネジメントの内部組織として設立され、2001年に株式会社として独立しました。設立当初の社長は元任天堂の橋本徹氏で、彼は任天堂で「スーパーマリオクラブ」の担当をしていました。その後、マリーガル・マネジメントに入社し、猿楽庁を立ち上げました。会社の成長は著しく、2001年10月にはエンターブレインの子会社となり、2010年にはポールトゥウンに完全子会社として取得されることとなりました。最終的には、2019年5月にポールトゥウィンによって吸収合併され、法人として消滅しましたが、2021年2月には株式会社HIKE（旧：CREST）に事業が継承されました。

業務内容

猿楽庁は、主にゲームのバランス調整やデバッグ（プログラム上の誤りをチェックするプロセス）などを行っていました。具体的には、ゲームの企画書十分に精査し、試作段階のソフトウェアのプレイや分析を行う「モニタリング」や、ほぼ完成したβ版を検証する「バランス調整」、またカスタマイズの必要があるゲームのデバッグを含みます。ただし、ポールトゥウィンの子会社となった後はデバッグ業務は行わなくなりました。さらに、攻略本の制作等も担当しており、幅広い役割を果たしていました。設立当初には、ゲーム情報誌『週刊ファミ通』で鈴木みそによるレポートも掲載され、注目を集めました。

猿マークとその課題

猿楽庁のスタッフがプレイして検討したゲームソフトには、「猿マーク」がパッケージの裏に記載されます。これは、ユーザーにとって満足できると評価された証ですが、このマークが付けられることによって問題があったゲームも少なからず存在しました。たとえば、進行不能なバグや快適に動作しないソフトでも猿マークがつくケースがあり、質についての疑問を呼ぶこともありました。特に、猿楽庁が小規模ながら大量のソフトチェックを請け負うスタイルは、業務内容や企業の存在意義について様々な意見を誘発しました。

チューニングに携わったゲーム機

猿楽庁は、多くのゲーム機においてチューニングに関与してきました。代表的なプラットフォームとして、PlayStationシリーズ（PS, PS2, PS3）、PlayStation Portable（PSP）、ニンテンドーDSおよび3DS、ドリームキャスト（DC）などがあります。これらのゲーム機向けタイトルのデバッグやバランス調整は、同社の重要な業務の一環でした。

まとめ

猿楽庁は日本のゲーム業界において重要な役割を果たした企業の一つです。多くの名作ゲームの裏には、彼らの細やかな検討と調整がありました。最終的にはHIKEに事業が継承されていますが、猿楽庁の影響は今もなおゲーム業界で生き続けています。

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