玉田玉秀斎

玉田玉秀斎について

玉田玉秀斎（たまだ ぎょくしゅうさい）は、講談の世界において重要な名跡の一つです。この名跡は、玉田永教の神道講釈の流れを汲む玉田派に属し、その歴史は複数の世代にわたります。現在、この名跡を継いでいるのは四代目であり、それぞれの時代で独自の活動を展開しています。

各代の玉田玉秀斎

初代 玉田玉秀斎

初代玉田玉秀斎についての詳細は限られていますが、玉田派の基礎を築いた人物として知られています。彼の講談は、後の世代に大きな影響を与えました。

二代目 玉田玉秀斎

二代目玉田玉秀斎については、長らくその存在が曖昧でしたが、近年になってその襲名以前にもう一人存在した可能性を示す資料が見つかりました。現在、この「幻の二代目」に関する調査が進められています。

三代目 玉田玉秀斎

三代目玉田玉秀斎（1856年 - 1919年）は、初代玉田玉秀斎の門弟であり、本名を加藤万次郎といいます。速記講談時代には「雪花山人」や「野花散人」といったペンネームを使用し、「玉麟」という号も持っていました。彼は長らく二代目として認識されていましたが、2016年に四代目が襲名する際の調査で、初代の後に「幻の二代目」が存在していたことが判明し、三代目に訂正されました。

三代目は京都の神職の家に生まれ、幼少期から講談に親しんでいました。大阪で錫職人を経て講談師となり、1896年には巡業先の今治で人妻である山田敬と駆け落ちし、大阪に戻りました。敬は廻船問屋「日吉屋」の内儀で、玉田より1歳年上で、夫と5人の子を残しての出奔でした。敬の長女・寧は母親の駆け落ちを理由に離縁されています。

玉田は速記者の山田都一郎と組んで速記講談に転じ、三代目玉田玉秀斎を襲名しました。その後、山田都一郎と寧を結婚させましたが、2年ほどで離婚したため、それを機に速記講談から書き講談に転じました。敬の子供たち（長女、長男、三男、四男）も加わって一派を形成し、活動を展開しました。1911年には一派で立川文庫の企画・執筆も行いました。

また、敬の孫にあたる池田蘭子（1893年 - 1976年）も立川文庫で執筆や小説を手がけました。蘭子は後にパーマ技術を習得し、大阪で美容院を開業して成功を収め、自伝的小説『女紋』を発表、菊田一夫の脚本で舞台化もされました。

四代目 玉田玉秀斎

四代目玉田玉秀斎（1976年11月30日 - ）は、スウェーデン語を操る国際的な講談師です。以前は旭堂南陽（きょくどう なんよう）という名で活動しており、本名は非公開です。

来歴

大阪市平野区で生まれ、大阪府立長野高等学校から大阪市立大学法学部を卒業しました。高校時代にはロータリー青少年交換留学生としてスウェーデンに1年間留学しました。

2001年11月、旭堂小南陵（後の四代目旭堂南陵）に入門し、講談師としての道を歩み始めました。赤十字語学奉仕団などのボランティア活動にも積極的に参加していました。アメリカのボストンで行った英語講談・修羅場読みは、NHK WORLD「what's on Japan」で全世界に放送されました。また、英語以外にもブラジルのパラナ州でポルトガル語での講談も経験しています。

2016年11月、四代目玉田玉秀斎を襲名し、2021年には大阪講談協会を退会し、フリーとなりました。2022年からは三重大学大学院人文社会科学研究科修士課程で忍者・忍術学コースを学び、2024年3月に修了しました。さらに2024年4月からは和歌山大学大学院観光学研究科後期博士課程で、忍者と漫遊記に関する研究を行っています。

人物

四代目は、2021年8月9日に岡山市で開催されたJ2リーグの試合で、ファジアーノ岡山の歴史を講談で披露したことをきっかけに、ファジアーノ岡山の熱心なサポーターとなりました。自身のTwitterでもファジアーノ岡山に関する情報を発信しており、プライベートでも観戦に訪れています。

出演

四代目は、ラジオNIKKEI第1放送で「玉秀斎の関西講談ウォーク」という番組のパーソナリティを2016年4月から2017年12月まで務めていました。

弟子

弟子には、玉田玉山（本名：丸山俊吾、2019年3月入門）がいます。

まとめ

玉田玉秀斎の名跡は、講談の歴史の中で重要な役割を果たしてきました。各世代の玉田玉秀斎は、それぞれの時代背景の中で独自の講談スタイルを確立し、講談文化の発展に貢献しました。特に、三代目の速記講談の取り組みや、四代目の国際的な活動は、現代の講談界に新たな可能性を示唆しています。

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