生きる力

生きる力とは

「生きる力」とは、社会の変化に対応し、自立して人生を切り開いていくために必要な、総合的な資質や能力を指す言葉です。具体的には、自ら課題を見つけ、学び、考え、判断し、行動する力、他者と協調し、思いやる心、そして健康な体を指します。

教育における「生きる力」

1996年、文部省（現在の文部科学省）の中央[[教育審議会]]は、「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」という答申の中で、「生きる力」という概念を提唱しました。この答申では、これからの子供たちには、社会がどのように変化しようとも、自ら学び、考え、主体的に判断し、行動する力、そして他者と協調し、思いやる心を持つことが重要であるとされました。また、健康や体力が不可欠であることも強調されています。これらの資質や能力をバランスよく育むことが、これからの社会を生き抜くための「生きる力」であると定義されました。

この理念に基づき、その後の学習指導要領の改訂では、総合的な学習の時間が創設されました。2002年以降の学習指導要領では、ゆとりある教育の中で、個性を尊重しつつ「生きる力」を育むことが目標とされました。さらに、2011年以降の学習指導要領では、ゆとりと詰め込みという二項対立を超え、「生きる力」をより一層育むことが目指されています。

「生きる力」への批判

一方で、「生きる力」という概念には批判的な意見も存在します。一橋大学准教授の河野真太郎は、2001年の文部科学省白書に掲載された『千と千尋の神隠し』に関するコラムを例に挙げ、映画のテーマである「生きる力」が、「他人のために何かをすること」や「与えられるのではなく、与えること」といった意味だと解釈されている点を批判しました。河野は、「搾取が容易に可能な主体になることこそが、『生きる力』を手に入れることなのだ」と述べ、労働ダンピングややりがい搾取との関連性を指摘しています。

関連用語

• - ゆとり[[教育]]
• - 脱ゆとり[[教育]]
• - 新学力観
• - 総合的な学習の時間
• - 文部科学省
• - 中央[[教育審議会]]
• - コミュニケーション能力
• - 社会技能
• - 人間力
• - 学習:秘められた宝
• - DeSeCo

外部リンク

• - 文部省 審議会答申等 （２１世紀を展望した我が国の教育の在り方について（第一次答申））1996年 - ウェイバックマシン（2001年7月16日アーカイブ分）
• - 初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について（答申） 2003年

「生きる力」は、教育における重要な概念であり、その捉え方や具体的な育成方法については、今後も議論が深められていくべきでしょう。

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