白井亨

白井亨（しらい とおる）について

白井亨は、江戸時代後期の剣客であり、天真一刀流の二代目として知られています。また、彼は天真伝兵法を創始し、白井流手裏剣術の開祖とも言われています。亨の生涯は、彼の剣術に対する情熱と努力が色濃く反映されています。

生い立ち

亨は1783年に江戸の町人、大野家で生まれました。彼は母方の祖父である信州中野の郷士、白井彦兵衛の養子となります。8歳の時に彦兵衛が亡くなり、その遺言により、母の勧めで機迅流の師匠、依田秀復の元へ入門します。亨は稽古に励むものの、元々の体格や師匠との相性の悪さから、免許取得には至りませんでした。

剣術修行の葛藤

14歳で道場を出た亨は、1797年に有名な中西道場に入門します。この道場で、寺田宗有、高柳又四郎といった仲間たちと共に修行を重ね、剣術の腕を磨きました。しかし、病気を抱えながらも、亨は1日も稽古を休まず、母の見守りの下、重い木刀の稽古を行っていました。

師匠の死と新たな技の習得

1811年、師匠の中西子啓が没した後、亨は道場を離れ、自らのスタイルを探求します。彼は「八寸の伸曲尺」という独自の技を開発し、江戸を離れて武者修行の旅に出ました。様々な流派で試合を経験し、特に岡山藩では高く評価されました。

戻った江戸での気づき

母の病気の知らせを受け、江戸に戻った際、かつての同門の剣術の衰えに落胆する亨。老いて剣の技術が失われることに疑問を抱き、寺田宗有に相談。しかし、彼の気迫を目の当たりにし、改めて入門します。こうして、亨は寺田から天真一刀流の技を引き継ぎ、二代目となりました。

剣術界への影響

名匠としての地位を確立した亨は、数々の試合で高い評価を得ることに成功します。特に1832年に行われた試合で、白井は自身の短竹刀で他流を破り、その名声をさらに高めました。彼は生涯に渡り仕官を拒否し、剣術の研究に専念しました。

著書と伝承

白井亨は著作に『兵法未知志留辺』や『天真録』などがあります。彼の教えは富山藩士・吉田有恒によって受け継がれ、富山藩に伝承されました。また、彼の技術や考え方は剣術界に大きな影響を与え、他の剣客からも高く評価されていました。

まとめ

白井亨は、剣術に情熱を注ぎ、独自の道を歩んだ剣客であり、その技術や思想は後世にまで受け継がれています。彼の生涯には多くの学びや教訓が詰まっており、江戸時代の剣術界を知る上で欠かせない存在です。生涯を通じて剣の道を探求した彼の姿勢は、現代にも通じるものがあります。

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