白石踊

白石踊（しらいしおどり）

白石踊は、岡山県笠岡市にある白石島で伝承されている独特の盆踊りです。この踊りは、国指定の重要無形民俗文化財として、地域の伝統行事を支える重要な側面を持っています。はじまりは源平合戦にさかのぼり、戦死者を慰霊する目的で行われるようになったとされています。

毎年8月のお盆の期間、具体的には13日から16日にかけて、公民館前の広場で踊りが披露されます。また、観光名所としても知られ、7月中旬から8月上旬の毎週土曜日には白石島海水浴場の砂浜でも行われることがあります。これにより、地元住民だけでなく、訪れる観光客にもこの文化を楽しんでもらえる場が提供されています。

白石踊の魅力は多彩な踊りです。男踊り、笠踊り、奴踊り、鉄砲踊り、真影踊り、女踊り、大師踊り、阿亀踊り、娘踊り（月見踊り）、扇踊り、二つ拍子踊り、梵天踊り、ブラブラ踊りの全13種が存在します。それぞれの踊りは独自の衣装と振付けを持ち、ひとつの音頭に合わせて彼らが同時に踊るという、このような様式は非常に珍しいものです。

踊り手たちは、色とりどりのアイテムを手にしながら、輪を作って踊ります。その中心には「音頭台」と呼ばれる櫓が設置され、踊りの合間には物語や浄瑠璃を題材にした口説きが大太鼓のリズムに乗せて謡われる光景が見られます。歌われる内容としては「賽の河原」や「那須与一」、「石童丸」など多彩なテーマがあり、地域の文化や歴史が豊かに表現されています。

さらに、白石踊には「回向踊り」と呼ばれる特別な踊りも存在します。この踊りは初盆を迎えた家々を訪れるもので、亡くなった方々のために鎮魂を捧げる意味を持っています。「回向踊り」は一般に8月15日に公民館前で見学でき、死者への慰霊を表す白石踊の象徴的な要素とされています。

近年、白石踊を保存し、次世代に伝えるために活動している保存団体「白石踊会」は、地域外でも積極的に普及を図っています。これまでに多くの賞を受賞しており、地域伝統芸能大賞やおかやま県民文化大賞など、数々の栄誉に輝いています。これらの受賞は、白石踊の伝統を守り育てる努力が評価された証です。

白石踊は地域の文化的アイデンティティを象徴するとともに、訪れる人々に深い感動を与える盆踊りです。ぜひこの素晴らしい伝統を、実際に体験してみてください。

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