皇国の守護者

皇国の守護者

『皇国の守護者』（こうこくのしゅごしゃ、IMPERIAL GUARDS）は、佐藤大輔による架空世界を舞台とした戦記小説です。伊藤悠によって漫画化もされました。

1998年に第1巻が刊行されましたが、2005年刊行の第9巻以降は執筆が途絶え、作者の佐藤大輔が2017年に死去したため、未完となりました。漫画版も2018年3月に絶版となっています。

概要

本作は、人と龍が共存する世界を舞台に、貿易で繁栄する小国〈皇国〉と、その貿易赤字を解消するために侵略してきた〈帝国〉との戦争、そしてそれをきっかけとした〈皇国〉内部の権力闘争を描いています。

プロローグは本編の数十年後の場面であり、〈帝国〉との戦争は過去のものとなり、主人公の新城も一部の者以外からは忘れられ始めている様子が描かれています。

表紙イラストは、1巻から7巻は塩山紀生、8巻は平野耕太、9巻は獅子猿がそれぞれ担当しています。

各巻サブタイトル

反逆の戦場（Nowhere Fast）
勝利なき名誉（Glory without Victory）
灰になっても（Not of Another Ashes）
壙穴【はかあな】の城塞（Princess's own LOVERS）
英雄たるの代価（Fair is Foul）
逆賊死すべし（General's Winter）
愛国者どもの宴（Patriot's Fantasy）
楽園の凶器（The Soldiers of Heaven）
皇旗はためくもとで（Bloody Harvest）

初版は中央公論新社のC★NOVELSファンタジアから刊行され、現在は中公文庫から刊行されています。中公文庫での再版時およびC★NOVELS創刊25周年アンソロジー『C★N25』刊行時には、『皇国の守護者外伝』が収録されました。

外伝タイトル

猫たちの戦野（『Ｃ★Ｎ25』所収）
観光資源（1巻所収）
職業倫理（3巻所収）
新城支隊（4巻所収）
島嶼防衛（5巻所収）
お祖母ちゃんは歴史家じゃない（6巻所収）
新城直衛最初の戦闘（7巻所収）
我らに天佑なし（8巻所収）
猫のいない海（9巻所収）

主要キャラクター

皇国

新城直衛（しんじょう なおえ）: 本作の主人公。陸軍中尉、兵站幕僚。
千早（ちはや）: 直衛の愛猫である雌の剣牙虎。
蓮乃（はすの）: 直衛の義姉であり幼馴染。のちに保胤の愛妾となる。
駒城麗子（くしろ れいこ）: 保胤と蓮乃の娘。直衛の許婚となる。
駒城保胤（くしろ やすたね）: 直衛の義兄にして蓮乃の主人。駒城家次期当主。
駒城篤胤（くしろ あつたね）: 直衛と蓮乃の義父であり、保胤の実父。駒城家現当主。
天霧冴香（あまぎり さえか）: 直衛の個人副官。両性具有者。
瀬川権之助（せがわけんのすけ）: 新城家家令。
牧嶋光信（まきしまみつのぶ）: 麗子の婿。
猪口（いのくち）: 近衛の特務曹長。
羽鳥守人（はとり もりと）: 新城の特志幼年学校での同期生。皇室魔導院の勅任特務魔導官。
古賀亮（こが りょう）: 新城の特志幼年学校での同期生。皇室史学寮研究員。
槇氏政（まき うじまさ）: 新城の特志幼年学校での同期生。問屋の跡取り息子。
樋高惣六（ひだか そうろく）: 新城の特志幼年学校での同期生。野戦将校。
坂東一之丞（ばんどう いちのじょう）: 天龍。近衛嚮導聯隊の導術幕僚。
藤森弥之介（ふじもり やのすけ）: 近衛衆兵第501大隊長となった新城の首席幕僚。
丸枝敬一郎（まるえだ けいいちろう）: 陸軍中尉。六芒郭攻防戦で新城の配下となる。
笹嶋定信（ささじま さだのぶ）: 水軍将校。北領撤退戦では転進支援隊司令。
正仁（帝）（まさひと）: 今上皇主。
実仁親王（さねひと しんのう）: 皇主の弟。北領では准将。
天霧清香（あまぎり きよか）: 実仁の個人副官。冴香の兄。
守原長康（もりはら ながやす）: 守原家現当主。
守原英康（もりはら ひでやす）: 長康の弟で当主代行。
守原定康（もりはら さだやす）: 長康の長男。
草浪道鉦（くさなみ みちかね）: 守原家の家臣、陸軍中佐。

帝国

ユーリア・ド・ヴェルナ・ツァリツィナ・ロッシナ: 東方辺境領姫、元帥。
クラウス・フォン・メレンティン: 作戦参謀、大佐。東方辺境領男爵。
アンドレイ・バラノヴィッチ・ド・ルクサール・カミンスキィ: 騎兵聯隊長。大佐。
ゴトフリート・ノルティング・フォン・バルクホルン: 騎兵大尉。西方諸侯領騎士。
アンリ・ロボフ: バルクホルンの従兵。
ゲルト・クトゥア・ラスティニアン: 鎮定第2軍団参謀長、少将。
ゲオルギィ三世: 〈帝国〉現皇帝にしてユーリアの伯父。

漫画版

伊藤悠による漫画版が『ウルトラジャンプ』（集英社）で2004年から2007年まで連載されました。2005年度および2006年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員会推奨作品に選ばれています。2008年マンガ大賞にもノミネートされました。

しかし、2018年3月には漫画版の増版と電子書籍化は行わないことが公表され、絶版となっています。

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