益子参考館

濱田庄司記念益子参考館：民藝の息吹を今に伝える

濱田庄司記念益子参考館は、栃木県芳賀郡益子町に位置する、登録博物館です。益子焼を代表する陶芸家であり、民藝運動の中心人物でもあった濱田庄司の旧宅と工房跡を有効活用し、彼の蒐集品を展示公開しています。

濱田庄司と益子参考館の軌跡

濱田庄司は1924年、益子町に移住。その後、現在の参考館を含む敷地内に近隣の建物を移築し、生活と創作の拠点を築きました。自身の蒐集品を公開していた濱田は、より多くの人に鑑賞してもらうため、80歳の誕生日である1974年、財団法人益子参考館を設立。自身の建築物と蒐集品を寄付し、1976年には私立博物館として登録されました。

1977年、自邸の一部を開放し、「益子参考館」として正式に開館。世界各地から集められた民芸品は、後進の陶芸家や民藝愛好家にとって貴重な参考資料となりました。初代館長は濱田庄司自身でしたが、1978年の逝去後は息子の濱田晋作が2代目館長に就任。

1978年には、来館者の要望に応え、濱田庄司の作品も展示を開始。さらに、1989年には、庄司の作品を展示する「濱田庄司記念館」が新たに開設されました。2011年の東日本大震災では、建物や登り窯が被災しましたが、多くの寄付金を得て2013年に再建。2014年には、名称が「公益財団法人濱田庄司記念益子参考館」に変更されました。

多様な蒐集品と歴史的建造物

参考館は、濱田庄司が厳選した5棟の建物を展示館として使用。アジア、ヨーロッパ、中南米、太平洋諸国など、世界各地の陶磁器、木工、漆器、金工、染織など、多岐にわたる民芸品が展示されています。

これらは、濱田庄司が「名も無き作り手たち」の作品に注目し、収集したもの。それぞれの品物には、作り手の技と文化、そして生活の知恵が凝縮されています。

また、濱田庄司が実際に使用していた工房である「細工場」や登り窯も当時のまま保存されており、当時の作陶の様子を垣間見ることができます。敷地内には、沖縄の厨子甕や石像などの蒐集品も点在し、散策するだけでも楽しめる空間が広がっています。

特に、有形文化財に指定されている「上ん台（別邸）」は、濱田庄司が民藝の趣向を凝らして改修した建物。独特の雰囲気と、蒐集された家具や仏像などが調和し、来場者に特別な体験を提供しています。休憩スペースでは、コーヒーやハーブティーが提供され、イベントなども開催されています。

益子参考館を構成する施設

長屋門: 受付、案内所、売店を併設。
1号館: 濱田庄司の蒐集品や関連作家をテーマとした企画展を開催。
2号館、3号館: 大谷石で作られた石蔵を移築した展示室。西洋、オリエント、アジア地域の蒐集品を展示。
4号館（上ん台）: 濱田庄司の別邸。有形文化財に指定されており、英国からの蒐集品や日本の家具などが展示。
細工場: 濱田庄司が使用していた工房。有形文化財に指定。
登り窯: 濱田庄司が使用した登り窯。震災で崩壊後、修復済。
* 濱田庄司館: 濱田庄司の作品や交流のあった作家たちの作品を展示。

濱田庄司記念益子参考館は、単なる博物館ではありません。民藝運動の精神と、濱田庄司の豊かな感性、そして益子町の自然が一体となった、貴重な文化的空間です。多くの来場者にとって、忘れがたい体験となることでしょう。

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