矢部川

矢部川（やべがわ）

矢部川は、福岡県の南部を流れる主要な河川で、一級水系の本流として地域に重要な役割を果たしています。この川は、八女市の矢部村に位置する三国山から源流を発し、沖端川を始めとした多くの支流と合流しながら有明海へと注いでいます。流域には、約18万人の人々が生活しており、彼らの生活に欠かせない存在です。

語源

「矢部」という地名はこの川の名前の由来とされていますが、その起源にはいくつかの説があります。特に興味深いのは、『日本書紀』に記された景行天皇の九州巡幸の話です。この中では、八女津媛という女神が山中に住んでいるとされ、八女という地名が八女津媛に起因するとされています。また、「ヤ」は「山」、「ベ」は「辺」を意味し、湿地に囲まれた土地を表すとも言われています。

地理

矢部川は、その上流部では急勾配を持ち、特に上流から中流にかけては約1/80～1/200の勾配があります。中流域では流れが緩やかになり約1/350～1/700、下流になるとさらに緩やかになり約1/2,000～1/10,000です。流量は大きく変動し、洪水や干害を引き起こすことが多いため、長年にわたり堰の建設や利水が行われてきました。特に1959年には日向神ダムが治水と利水のために造られました。

歴史

江戸時代、矢部川は久留米藩と柳川藩の境界を形成し、両藩は水利権を巡る争いを繰り広げていました。この川の河口付近は、1645年の大改修によって蛇行が少なくなり、その名残が今も地名に見受けられます。大正時代まで、筑後市でとれる金の鮎が名物でしたが、第一次世界大戦の影響で河川環境が変化し、その姿を消したという歴史があります。

流域の自治体と主な支流

矢部川の流域には、八女市、筑後市、柳川市、みやま市などの市が含まれています。また、御側川、樅鶴川、剣持川、沖端川など多くの支流がこの川に流入しています。

橋梁

矢部川を渡る橋としては、歩行者専用の船小屋観光橋（ガタガタ橋）、西鉄天神大牟田線の矢部川橋梁、そして有明海沿岸道路の矢部川大橋などがあります。これらの橋は、地域の交通や観光に寄与しています。

まとめ

矢部川は福岡県南部において自然、歴史、そして地域社会に深く根ざした存在として、多くの人々の生活や文化に影響を与えてきました。この川を通じて、地域を理解し、自然や歴史に対する感謝の念を持つことが大切です。

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