石井幹子

石井 幹子（いしい もとこ）について

石井幹子は、1938年に東京都で生まれた日本の著名な照明デザイナーであり、照明デザイン事務所を運営しています。彼女は、日本に「ライトアップ」の文化を根付かせた重要な存在であり、東京タワーやレインボーブリッジをはじめとする多くの象徴的なスポットの照明デザインを手がけ、その作品により都市の夜景に新たな価値を見出しました。

経歴

幼少期から東京都内の学校に通い、1962年に東京芸術大学の美術学部を卒業。卒業後はデザイン会社で照明器具のデザインに従事。その後1965年から1967年には、フィンランドとドイツの照明設計事務所で助手として活躍しました。帰国後の1968年には自身の事務所を設立し、大阪万博や沖縄海洋博の照明デザインに携わりますが、オイルショックの影響で照明デザインへの理解が得られず苦しい時期を経験しました。

しかし、建築家のミノル・ヤマサキの目に留まり、この機会をきっかけに中東など海外での仕事を展開。1979年には京都タワーからの夜景を見て日本の照明環境の改善が必要だと感じ、プロモーション活動を展開します。これにより国内外での活動の幅を広げ、都市のライトアップ事業に成功を収めました。

照明デザインの革新

1989年の東京タワーのライトアップによって、石井のデザインは広く評価され、北米照明学会からの大賞を受賞するなど、その名声は不動のものとなりました。これに続き、様々な都市やイベントで照明デザインを行い、特に北米照明学会大賞を光ファンタジー電力館（1990年）やレインボーブリッジ（1994年）で2度受賞するなど、国内外から高い評価を得ました。

現在、石井は都市照明からレーザーアートに至るまで多種多様な光の表現を探求し続け、国内外での活動を通じて照明デザイナーとしての地位を確立しています。国土交通省や内閣府の審議会においても委員を務め、その業績が評価され、2000年には紫綬褒章を受章し、2019年には文化功労者、2020年には東京都名誉都民にも選ばれました。2023年には旭日中綬章を受賞しています。

プライベート

長野県の軽井沢に別荘を有し、家庭ではサッカー日本代表の父を持ち、法学者の夫や照明デザイナーを志す娘もいます。これらの背景が彼女の視点やデザインに影響を与える要因となっています。

主な作品

石井の手がけたライトアッププロジェクトは多岐にわたり、国際花と緑の博覧会、つくば科学万博、ライトアップフェスティバル、大阪市や姫路市など各地の名所や橋、博物館、寺社に至るまで幅広く展開されています。特に東京タワーやレインボーブリッジなどの大規模な灯りの演出は広く知られています。

受賞歴

数々の賞を受賞しており、1979年の照明学会賞や1990年の日本文化デザイン大賞、1992年の東京都文化賞、さらには多くの名誉ある表彰を受けています。これによって彼女の作品は日本の照明デザインにおいて欠かせない存在となっています。

石井幹子はその独特な視点で未来の照明文化を切り開いていく存在であり、今後の彼女の活動にも注目です。

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