石川県森林公園

概要

石川県森林公園は、石川県のほぼ中央、河北郡津幡町に広がる県営の公園です。その広大な敷地には、レクリエーション、スポーツ、学習、自然体験など、多様な目的で利用できる施設が整備されています。公園は大きく二つのエリアに分かれており、多目的施設が集まる「津幡園地」と、三国山の自然を生かしたキャンプ施設が中心の「三国山園地」があります。この公園は、訪れる人々に豊かな自然の中で様々な活動を提供する場であるとともに、森林の保全や生物多様性の重要性を発信する拠点としての役割も担っています。

園内の主な施設

津幡園地

津幡園地は、多様なレクリエーションニーズに応える施設が集まっています。里山に暮らす動物たちを観察できる森林動物園では、ニホンジカ、ニホンザル、ホンドイノシシなど、地域固有の動物たちが飼育されています。身体を動かして遊ぶエリアとしては、自然地形を生かしたフィールドアスレチック、多目的運動場、バーベキュー場、ボート乗り場があります。スポーツ施設も充実しており、全天候型テニスコート6面、8ホールのやまびこゴルフ場と打ちっ放し練習場、18ホールのパットゴルフ場、アーチェリー場、ラジコンサーキット場などが利用可能です。また、園内中央部には、後述の「MISIAの森」があり、自然保全活動の現場となっています。薬用植物園や、森について学べる学習展示館、学習ホール、インフォメーションセンターといった教育・文化施設も整備されており、自然への理解を深める機会を提供しています。園内を巡るサイクリングロードは全長6.1kmあり、豊かな緑の中でのライドが楽しめます。

三国山園地

三国山園地は、より自然に近い環境での滞在やキャンプに適したエリアです。宿泊施設としてログハウスが完備されており、キャンプを楽しみたい方向けには、テントキャンプサイトやオートキャンプサイトが設けられています。こちらにもバーベキュー場があり、自然の中で食事を楽しむことができます。

沿革

石川県森林公園の歴史は、石川県政100周年記念事業として1971年10月に設置が決定されたことに始まります。1973年 5月5日に開園して以来、県民の憩いの場として親しまれてきました。日本の緑化推進においても重要な役割を果たしており、1983年 5月には第34回全国植樹祭が「小さな緑　守り育てて　豊かな郷土」をテーマに開催されました。さらに、1994年9月には第18回全国育樹祭も開催され、「この緑　育む手と手で　豊かな明日」のスローガンのもと、森を育てることの重要性が再認識されました。2011年5月には「MISIAの森プロジェクト」がスタートし、生物多様性保全への新たな取り組みが加わりました。2013年3月には、森林環境が健康増進に役立つ「森林セラピー基地」に認定されています。

特徴と取り組み

公園の大きな特徴の一つは、「MISIAの森プロジェクト」です。これは歌手のMISIA氏が提唱し、一般社団法人mudefが推進する生物多様性保全活動で、石川県森林公園内の「MISIAの森」を拠点に行われています。このプロジェクトでは、植樹、下草刈り、巣箱の設置など、参加型で森を育む様々なイベントが企画・実施されており、訪れる人々が自然保護の重要性を学び、体験する機会となっています。また、森林セラピー基地としての認定は、公園の豊かな森林環境がストレス軽減やリフレッシュに効果的であることを科学的に裏付けるものであり、健康志向の高い利用者からも注目されています。

主なイベント

過去には、1985年から2002年まで大規模な野外ロックフェスティバル「POP HILL」が開催され、音楽イベントの会場としても広く知られていました。現在も、県民参加型の森林整備活動「県民みどりの祭典」や、津幡町の特産品を用いたユニークなスポーツ「まこもやり投げ大会」、ハンドメイド作品などの展示販売やワークショップが行われる「森の青空アート」、生物多様性について楽しく学べる「MISIAの里山ミュージアム」など、年間を通じて様々なイベントが開催され、多くの人々が訪れます。

近年の災害と復旧

2023年7月、記録的な大雨により園内各所で大規模な土砂崩れや道路の崩落が発生しました。この甚大な被害を受け、利用者の安全確保のため、同年7月13日から長期にわたり休園となりました。公園施設への被害は125カ所に及び、復旧作業には時間を要しています。しかし、行政や関係機関の努力により復旧が進められ、翌2024年3月から4月にかけて、一部の施設から順次利用が再開されています。現在も全面復旧に向けた作業が進められています。

まとめ

石川県森林公園は、自然豊かな環境の中で、スポーツ、レクリエーション、学習、そして森林保全活動まで、多様な体験を提供する総合的な公園です。長年にわたり県民に親しまれてきた歴史を持ち、近年の災害からの復旧という困難を乗り越えながら、学びと憩いの場としての機能を果たし続けています。生物多様性の保全といった現代的なテーマにも積極的に取り組み、これからも多くの人々に愛される場所であり続けるでしょう。

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