石川県西田幾多郎記念哲学館

石川県西田幾多郎記念哲学館：哲学と景観が融合する空間

石川県かほく市に位置する石川県西田幾多郎記念哲学館は、近代日本の代表的な哲学者である西田幾多郎の生涯と業績を後世に伝えることを目的とした文化施設です。2002年に開館し、現在はかほく市が運営しています。元々は1968年に設立された宇ノ気町立西田記念館を前身としており、2015年には大規模な改修を経て、新たな姿で生まれ変わりました。

安藤忠雄設計による洗練された建築

本館の設計は、世界的に著名な建築家、安藤忠雄氏によるものです。日本海に面した内灘砂丘の丘陵地に建つ建物は、長く伸びる階段状の庭園とガラス張りの近代的な外観が特徴で、2002年には「第9回いしかわ景観大賞」を受賞するなど、高い評価を得ています。丘陵地の高低差を利用したデザインは、来館者に自然と一体になった空間体験を提供します。

展示と施設：西田幾多郎の世界に触れる

哲学館は地下1階から2階まで、展示室が設けられています。西田幾多郎の直筆原稿、書簡、遺品などが展示されており、その生涯や哲学思想を深く理解できるよう工夫されています。特に、地下1階にある「空の庭」は、四方を壁に囲まれた天井のない吹き抜け空間で、切り取られた空を眺めながら思索に耽ることができる、独特の空間です。

研修棟も併設されており、地下1階にはホール、1階には図書室、そして上層階には喫茶室や研修室、展望ラウンジなどが配置されています。地下1階の「ホワイエ」は、ガラスの天窓から円形に切り取られた空を見ることができる、開放的な空間となっています。「空の庭」とは対照的なこの空間は、哲学的な思索を促す、もう一つの静寂の場となっています。

復元された書斎：新たな魅力

2016年に取り壊された京都市にあった西田幾多郎旧居の書斎「骨清窟」が、木材などを再利用して館内に忠実に復元されました。2023年3月28日より一般公開されており、西田幾多郎の生活空間を肌で感じることができる貴重な機会となっています。

文化財と周辺環境

館内には、西田幾多郎直筆の書や原稿、書簡、そして西田得登（西田幾多郎の父）の書屏風など、貴重な文化財が保管されています。これらの多くはかほく市指定文化財に指定されています。「骨清窟」は国の登録有形文化財にも指定されています。

周辺には、かほく市うみっこらんど七塚などの観光施設や、イオンモールかほくなどの商業施設があり、哲学館を訪れた際に合わせて立ち寄ることも可能です。

アクセス

JR七尾線宇野気駅から徒歩20分、のと里山海道白尾インターチェンジから車で3分の場所に位置しています。

西田幾多郎記念哲学館を訪れて

石川県西田幾多郎記念哲学館は、哲学を学ぶ人々だけでなく、静寂な空間で思索に耽りたい人、安藤忠雄の建築を鑑賞したい人など、幅広い人々にとって魅力的な場所です。自然と建築、そして哲学が調和したこの空間で、心豊かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。哲学館は、西田幾多郎の哲学思想に触れるだけでなく、現代社会における人間のあり方について考えるきっかけを与えてくれる場所となっています。

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