神八剣伝

『神八剣伝』：滅亡した地球からの再生、そして新たな闘い

1999年4月3日から9月25日にかけて、テレビ東京系列で放送されたテレビアニメ『神八剣伝』。全26話という構成で、毎週土曜日の早朝に放送されました。制作はテレビ愛知とteamM.S.C.D、企画とアニメーション制作はパブリック&ベーシックが担当し、勇者シリーズに携わったスタッフも多数参加しています。南総里見八犬伝をモチーフとした本作は、環境破壊によって荒廃した地球を脱出した人類の、新たな故郷を求める壮大な物語です。

物語の舞台：滅亡後の宇宙

遥か昔、人口増加と環境破壊によって病んだ地球は、巨大隕石の衝突という運命を迎えました。女王フセの予言に従い、大勢の人々は巨大宇宙御所船ヤツフサに乗り込み、地球からの脱出に成功します。しかし地球は滅び、ヤツフサを中心とした大船団は、100万日夜にわたる宇宙の漂流を余儀なくされました。

漂流の末、大船団は霞のような謎の天体と、それを周回する八つの衛星からなる宙空に到着。この謎の天体は女王フセが探し求めていた神地界、そして宇宙空間全体は天界と呼ばれました。フセは「新たな大地を創生する」と宣言し、ヤツフサを神地界へと進ませますが、その行動が天界のバランスを崩し、大災害を引き起こします。人々はフセを人類滅亡の象徴と捉え、彼女の名を口にすることを禁じました。やがて、人々は八つの星に分かれて暮らすこととなり、物語はそれから88年後、神世紀2588年を舞台に展開します。

八人の主人公：それぞれの過去と未来

物語の中心となるのは、「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」を基にした名を持つ八人の若者たちです。彼らはそれぞれ異なる星で、異なる境遇を生きてきました。

コウ・ヤガミ: 「宙」の珠を持つ主人公。女性と間違えられることを嫌う一方、怒りっぽく、暴走することも。ムラサメという刀を武器に、行方不明の母を捜す旅に出ます。
ルーティ・オンミョウ: 「明」の珠を持つ少女。平和な日々を送っていましたが、怒りを感じると力を発揮する。オカリナに宝珠が埋め込まれています。
チュウジ: 「地」の珠を持つサイボーグ犬。女好きでスケベな性格。事故によって過去の記憶を失っており、人間の姿に憧れます。
ノブル・コンゴウ: 「鋼」の珠を持つ女性。過去に両親を殺された経験から軍を憎み、荒々しい性格に。ナイフを武器に、復讐の道を歩みます。
ギョウ・エンジョウ: 「炎」の珠を持つ青年。警察官でしたが、妻を失った過去からエルメ組で活動しています。子供や親を失った人々に対して優しい一面を持っています。
レイ・ヨゾラ: 「影」の珠を持つ人物。人を信じず、自分を偽って生きてきました。短銃を武器に、機天でスパイ活動を行います。物語の終盤で、その正体が明らかになります。
トモカ・タイガ: 「水」の珠を持つギャンブラー。金銭しか信用せず、借金取りに追われていたところ、コウたちと出会います。
ジンライ・ハズキ: 「樹」の珠を持つゲリラ活動家。両親と生き別れになっており、優しい性格です。大きな盾を武器に、両親を探す旅を続けています。

彼ら八人は、それぞれの珠と武器を手に、様々な困難に立ち向かいます。物語は、彼らの絆と成長、そして滅んだ地球の再生という壮大なテーマを描いています。

その他の登場人物とスタッフ

物語を彩るキャラクターとして、冷酷非情なカイ・オオワリや、謎の老女フナムシ、そして過去に地球再生の役目を担っていたフセ（タマミコ）などが登場します。

スタッフ陣には、総監督の谷田部勝義をはじめ、平野靖士、石田敦子、寺岡巌など、多くのベテランが参加。アニメーション制作にはパブリック&ベーシックが関わっています。音楽、主題歌も作品の世界観を盛り上げる重要な要素となっています。

漫画版

『神八剣伝』は、漫画版も存在します。『月刊Gファンタジー』で酒井さゆりによる漫画化、『月刊ASUKAファンタジーDX』で彩々木ももによる『神八剣伝 発動前夜ノブル』が連載されました。

『神八剣伝』は、個性豊かなキャラクター、壮大なスケール、そして胸を打つ物語で、多くの視聴者を魅了した作品と言えるでしょう。

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