福祉用具

福祉用具の概要

福祉用具とは、日常生活において困難を抱える障害者や要介護者、要支援者に寄り添い、その生活の質を向上させるためのさまざまな用具を指します。これには、義肢や車椅子などの補装具が含まれ、機能訓練に必要な用具もこの範囲に入ります。

日本における福祉用具

呼称とその定義

日本においては、福祉用具という概念が長年になって統一されていなかったため、"介護用具"や"福祉機器"といった多様な呼び方が用いられてきました。しかし、1993年に施行された福祉用具の研究開発および普及に関する法律によって、その定義が明確にされました。この法律によると、福祉用具は「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人や心身障害者の日常生活の便宜を図るための用具や、機能訓練に用いる用具、さらに補装具のこと」とされています。

福祉用具には主に三つのカテゴリーが存在します。
1. 補装具：生活に必須な機能の補完や代替をするもので、長期にわたり使用されます。
2. 日常生活用具：生活の質（QOL）を向上させ、自立を支援するための道具です。
3. 介護用品：介護する側の負担を軽減することを目的とした器具です。

これらの具体的な分類は、2007年に策定されたISO9999:2007やテクノエイド協会のガイドラインに基づいています。

給付と支援制度

日本の介護保険制度では、特に65歳以上の要介護者を対象に福祉用具のレンタルサービスが展開されています。要支援・要介護の度合いに応じた利用が可能です。ただし、入浴や排泄に関連する介護用品は「特定福祉用具」として位置づけられ、購入費用が給付される場合が多いです。また、高齢者ではない障害者や、必要な福祉用具が介護保険法でカバーされていない高齢者に対しては、障害者総合支援法が適用され、支援を通じて必要な用具を得ることができます。

共用品の取り組み

福祉用具には、その専門性から一般市場では流通しにくい商品も多いですが、シルバーカーやシニアカーのように、広く一般からも利用される商品があります。こうした商品を含む「共用品」は、障害の有無を問わず使用できることを旨とし、ユニバーサルデザインの考え方から、その普及が求められています。

共用品の発展は、身体機能が不自由な人々とその介護者がより良い生活を送るために欠かせない要素です。すべての人が利用しやすいデザインを追求することで、共生社会の実現が期待されています。

おわりに

福祉用具は物理的なサポートを提供するだけでなく、生活の質や自立を助ける重要な役割を果たしています。障害がある人や高齢者がより快適に生活できる環境を整備するため、今後も技術とデザインの革新が求められることでしょう。

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