税額控除

税額控除と給付付き税額控除の理解

税額控除は、課税標準に基づいて計算された税額から直接差し引ける金額を指します。これは税率を適用した後の金額から、別途控除される点が重要です。他方、税控除（Tax deduction）は、課税の計算に先立って控除が行われるため、税額控除とは異なる仕組みを持っています。

給付付き税額控除とは

給付付き税額控除は、所得の水準に合わせて所得税の控除と現金を組み合わせた制度です。この仕組みにより、税額控除でカバーできない分が現金として支給されることになり、特に貧困層や低所得者に対する支援が目的とされています。この考えは、ミルトン・フリードマンが提案した「負の所得税」に基づいています。

世界の多くの国では、勤労税額控除の形で給付付き税額控除が導入されており、アメリカ、カナダ、フランス、イギリス、スウェーデンなどで利用されています。たとえば、アメリカでは、勤労所得税額控除（Earned Income Tax Credit）や児童税額控除（Child Tax Credit）がその代表例となります。

日本においては、立憲民主党が提案しているように、中低所得層に対する消費税軽減策としての給付付き税額控除導入が模索されていますが、依然として具体的な制度は整備されていません。

各国の給付付き税額控除の例

アメリカ

• - 勤労所得税額控除: 低所得の勤労者を支援するための制度。一定の条件を満たす場合、税額が還付される。
• - 児童税額控除: 子供を持つ家庭への税額控除。
• - 公的健康保険補助: オバマケアに関連する税額控除。

イギリス

• - 勤労者タックスクレジット: 働いている家庭への支援措置。
• - 児童税額控除: 子供のいる家庭向けの金銭的支援。

フランス

• - 活動手当: 就業者向けの手当として支給される制度。

カナダ

• - カナダ勤労給付: 勤労者に特化した給付金。
• - カナダ児童手当: 児童を持つ家庭への給付。

韓国

• - 勤労奨励税制: 勤労者向けの税制優遇措置。

日本における給付付き税額控除の歴史

日本では給付付き税額控除の導入に向けた動きが過去数十年にわたって続けられました。2010年に菅直人内閣が発足したころから検討が始まり、政府がさまざまな報告書や法案を通じてこうした制度の必要性を提唱してきました。

2012年には三党合意として、消費税法の改正を通じて給付付き税額控除の導入が議論されましたが、実際の法制化には至っていないのが現状です。日本労働組合総連合会などの支持団体も存在し、この制度がもたらす社会的なメリットが強調されています。

結び

税額控除及び給付付き税額控除は、いずれも課税制度の一環として、貧困問題や不平等の緩和を目指している概念です。各国での導入事例からもわかるように、社会保障制度の整備と相まって、国民への直接的な支援策として重要な役割を果たうと期待されています。日本においても、この制度の整備が進むことで、より多くの人々に恩恵がもたらされることが期待されます。

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