種族同盟

種族同盟

『種族同盟』は著者松本清張による短編小説で、1967年に『オール讀物』に掲載され、1968年には中編集『火と汐』として文藝春秋から刊行されました。本作は、その後、1972年に松竹で映画化され、多くのテレビドラマでも取り上げられました。

あらすじ

物語は、新宿にあるバーのホステスである杉山千鶴子が東京郊外の渓谷で殺される事件から始まります。遺体の付近で発見されたペンダントが関係者を突き止め、その旅館の番頭である阿仁連平が逮捕され、起訴されました。主人公は、弁護士の楠田から依頼を受けて、安仁の弁護を担当することになります。無罪であるかもしれないという助言を受け、彼は助手の岡橋由基子と共に、阿仁の無罪を証明しようと奮闘します。

記事の重要点

松本清張は、この作品について「外国の犯罪実話からヒントを得た」と述べています。物語の前半は実話を元にしているものの、後半では法廷で弁護士が被告を脅迫するシーンが描かれています。著者は弁護士が優れた技術を持つことで、場合によっては凶悪な犯人を無罪にする事もあるというテーマを追求しています。また、続編を書く意図があったものの、未完に終わったとも語っています。

映画化

1972年には『黒の奔流』というタイトルのもと、映画化されました。この映画では、弁護士の名前が矢野武に変更され、貪欲な野心家として描写されています。また、事件の容疑者も原作では男性ですが、映画では女性の貝塚藤江に置き換えられています。さらに、ラストの展開も原作とは異なり、人物設定や関係性が大きく変わりました。映画はDVDとして現在も入手可能です。

テレビドラマ化

この作品は、その後テレビドラマとしても3度制作されました。各バージョンにおいて、被告人を女性に設定するなど、原作にはない新たな要素が取り入れられています。1979年の版本では小川眞由美が杉山千鶴子役を演じ、2002年のバージョンでは渡瀬恒彦が弁護士役を務めています。

人物とキャスト

映画『黒の奔流』およびそのテレビドラマ版には、著名な俳優が多数キャストとして参加しています。山﨑努や岡田茉莉子、渡瀬恒彦などが重要な役柄を演じ、物語を盛り上げました。特に、弁護士役のキャラクターはそれぞれ異なる描写がなされ、興味深い展開を見せています。

結論

『種族同盟』は、単なる犯罪小説ではなく、法廷劇としての面白さや人間ドラマを描いた傑作です。松本清張の鋭い観察力と心理描写が光るこの作品は、映画やテレビドラマといったメディアを通じて、今なお多くの人に親しまれています。

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